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櫻「A、トイレ行った?俺も行きたいんだけど…」
中「櫻井さん…」
しびれを切らした櫻井がトイレの前に来た。
櫻「なにしてんの?」
中「俺、Aのこと諦めますわ」
櫻「は?」
「………」
中「正直、Aが櫻井さんと別れることを望んでいました。けど、Aから「櫻井さんを心から愛している、私たちが別れることはない」とハッキリ言われて…もう何も言えなくなりました」
櫻「中村…」
中「けど親友という立場は誰にも譲りたくありません。俺はAの親友として、傍に居ようと思います…杉田と共に」
櫻「……その言葉、信じていいか?」
中「はい。でももし櫻井さんがAを泣かせたり傷つけるようなことしたら…その時は許しませんし、またアタックするかもしれませんけどね」
櫻「泣かせたりしねえよ。"啼かせ"たりはするかもな?w」
中「もうしてますやんww」
櫻「あ、分かったか?アハハハ〜ww」
二人は笑っていた。中村はきっぱり諦めたようだった
「なによ…真剣に話してると思えば急に笑ったりして…気持ち悪いな」
櫻「気持ち悪いって酷いなぁ〜」
「孝宏、トイレは?」
櫻「ん?あーもう大丈夫みたいだw」
「なによそれw」
ほんとはAと中村が戻ってこないのが気になっただけだった。
櫻井は戻り、Aはトイレへ。
中村は風呂場に行き、お湯をためる為に蛇口をひねった。
「A……本気で好きだった……っ、く……」
滅多に泣かない中村は、勢いよく出るお湯の音で泣きすする音を消していた…Aへの想いは苦い思い出となった。
(中村さん…泣くほどAさんの事を…)
井口が風呂場で泣いてる中村に気づき、先程の中村の言葉を聞いていた。
「あら?裕香ちゃんなにしてるの?」
「あ、私もトイレです!」
「あーすっきりした、どうぞ。ん?風呂場から音が」
「お湯ためてるみたいですね」
「お風呂入るのかな?ゆうきゃん」
そう言ってAは戻る。井口はトイレのドアノブに手をかけた。
(Aさんの為に隠れて泣いてるんですよ…あなたは中村さんに愛されて、羨ましいです…)
戻るAの背中を見つめ、井口はそう心の中で思った。
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作者名:touko. | 作成日時:2020年12月27日 16時