三十五人目 ページ36
敦side
敦「今のは、一体………」
佳奈さんは行ってしまった。
何故だろう。
社長を殺そうとしたのに、人殺しなのに、可哀想な人だと思った。
江「………そう言うことか……」
福「乱歩、何か分かったのか。」
暫く考え込んでいた乱歩さんが思い付いたように顔をあげて、説明し出した。
江「彼女はあのユートピアの最高幹部。
その補佐の宮部くんが言っていたでしょ?
『あの人はユートピアで最も殺しを嫌っていることで有名。』
と。
元々は人殺しなどするつもりは更々無かった。
だが、あの子達を守るがためにすべてを犠牲にし続けてあれだけの数を殺したんだ。
最初は少なかったが、うなぎ登りに業績が上がるもんだから更に、と増やした。
その頃僕たちが探偵社を立ち上げて何かあったときのために山をはっておいたんだろう。
彼女はそのために探偵社に入社した。
…………………彼女、このままだと、死ぬよ。」
え、どう言うこと?
佳奈さんが?
死ぬ?
福「………どう言うことだ。」
江「彼女は、あの男を巻き添えにしてでも殺すつもりだ。
ユートピアを無くす気だ。
早く止めないと。僕の考えだとあの男の異能力は…………」
宮「すみません。
ですが、どうしても聞いて欲しいんです。
あの人は、人殺しとも名高いですが、命を助ける_____生の依頼の方が業績は遥かに上。
お願いです、あの人を助けて下さい。
あの人は此処にいるべきでは無いんです。
本が好きで、優しくて、こんな俺を拾ってくれたんです!
あの依頼だって、ボスが関与している。
とうとう、探偵社は亡き者にしなければいけないと知られてしまった。
あの男の異能力は『呪怨』
人を呪い殺すことの出来、精神を弱らせ操ることの可能な異能。
あの二人が激突したとき、僕はあの人を助けられないんです。
あの人には僕の異能は効かないんです。
お願いします!!!」
彼は頭を下げて土下座をしていた。
其ほど佳奈さんが大切なんだ。
そして、強い佳奈さんでも助けられないほど危険な状況なのだ。
もし、僕たちが彼女の大切な人に入っていたなら、守られているなら。
いや、そうだろうな。
あの人は優しいから。
此処まで、大切に思ってもらえている人がいるなんて、少し羨ましい。
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作者名:ゆい | 作成日時:2018年12月15日 22時