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______横転したトラックの中、意識不明の運転手を抱えたまま、無駄に晴れ渡った青空をぼーっと見つめる。

…………あぁ、生きてるのか、僕。

そんな実感が指先から徐々に広がってきた頃、萩原が「大丈夫か」と言いながら駆け寄ってくる足音が聞こえてきて、空いていた右手でグッドサインを作る。今回は間違いなく、お前に助けられたよ。萩原。ちょっと癪だけどな。







「お手をどうぞ、お兄様」

「こんな時までふざけるなよお前」

「ハハッ、手厳し〜」







先に運転手を車外に引っ張り上げた後は、萩原の手を借りてトラックから抜け出した。流石に無傷とはいかなかったが、それでもあれだけの事故を思えば軽いものだ。今は命があるだけでもありがたいと思おう。


服についたガラスの破片や煤を払い、やってきた救助隊の人間に運転手を引き渡す。彼の分の衝撃も背中で受け止めたせいだろう。心なしか背中が痛い。
トントンと背骨を叩いていれば、ここぞとばかりに「マッサージしましょうかお兄様!」とすり寄ってくる萩原。その露骨な媚び売りやめろ。殴るぞ。







「…………なぁ、萩原。一つ聞いていいか」

「おうよ。なんでもいけるぜ?」







あんな事件の後でも、彼はカラッとした笑みを浮かべて答える。
だけど僕は、到底そんな心情にはなれない。

……もしも僕に、妹がいなければ。もしも僕に、守らなければならない人間が居なければ。もしかしたら萩原のように、結果的に生きていたんだから良かったじゃないか、結果良ければ全て良し、と笑えていたのかもしれない。

それも全部、もしもの話だ。今の僕には、結果良ければ全て良しで済ませてはいけない理由がある。




お前だって、そうだろう。







「あの時、あんな無茶で無謀な賭けに出て……死んだら、どうするつもりだったんだ」







お前には、必死になって僕に立ち向かわなければならないほど、大切な彼女が居るはずなのに。
僕の言わんとしていることを察したのか、萩原はパチクリと目を瞬かせて、ふっと口元を緩める。なんだ、僕は別に笑われるようなことを言った覚えはないぞ。







「______安心しろって降谷ちゃん。俺、あの子置いて死ぬ気、微塵もねぇから!」







はっきりと断言する萩原の言葉に、何故だか、背中を押されるような感覚を覚えた。

……あぁそうか、僕は。僕はずっと、こいつからのこの言葉を望んでいたんだ。Aを置いては死なないと、そう断言してくれる言葉を。




なぁ、萩原。……お前にならAを、任せられる気がするよ。







兄からメールが届きました→←□



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ひなみ - 読み終わった後、偶然、コナンのEDにもなった「ジューンブライド〜あなたしか見えない〜」を聴いたんですが、この曲の歌詞が妙にこの作品に合っている気がして、またこの作品を思い出して泣いてしまいました。心に残る素敵な作品をありがとうございました。 (2022年10月16日 17時) (レス) id: ba9ab70415 (このIDを非表示/違反報告)
ひなみ - 読み終わった今も涙が止まりません…。まず二人が助からないと分かったところで大号泣、夢主が既に亡くなっていたと分かったところで大号泣、最後の写真で大号泣…。ずっとギャグだったから、こんな結末全く予測していませんでした…。 (2022年10月16日 15時) (レス) @page49 id: ba9ab70415 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 最後のイラストで涙が止まらなくなりました😭 (2022年6月23日 22時) (レス) id: 1cfa02e0c5 (このIDを非表示/違反報告)
ルリ(プロフ) - まさかの結末で涙が止まらない、、、 (2022年6月14日 19時) (レス) @page48 id: 2eb7e133f7 (このIDを非表示/違反報告)
milk - なにこれ、悲し過ぎない!もうtシャツの袖がびしょ濡れになりました (2022年5月26日 0時) (レス) id: b9832e8e21 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:無糖 | 作成日時:2021年7月25日 15時

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