■ ページ13
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予め書いてきていたのか、今目の前で記入することもなく見せられる文字列。高校デビューに合わせて買ったのか、見た感じまだ真新しいスケッチブックだ。
あぁ、なるほど、そういうことね。朝のスルー事件の謎がやっと解けた。
彼女は一つの事に没頭しているのではなく、単純に周囲の音が聞こえなかったのか。
そうだとすると普通に返事をしても聞こえなさそうだから、俺はただ二、三回頷きを返した。それに対し、彼女はスケッチブックを机に伏せて、ひょいひょいと顔の前で手を動かす。
あ、待って、その手話は分かる。ありがとうでしょ。テレビで見たことある。
まぁ、手話の意味が分かったところで、「どういたしまして」を伝える術は無いのだけど。グッドサインでもそれっぽく伝わったか?
「【初めまして、私は降谷Aです】」
悶々と考える俺の横で始まった、驚くほど静かな自己紹介。
ページを捲る音だけが教室に響き渡り、遠く離れた席の呼吸音さえ聞こえてきそうだ。
自己紹介の内容は至ってシンプル。自分の名前と、出身地、好きなこと、それから、耳が聞こえないこと。それだけを簡潔に伝えると、彼女は深々と頭を下げて席についた。
疎らに起こる困惑の入り混じった拍手の中でも、彼女はただニコニコと微笑んでいた。そうか、この音も。
落ち着いた色の金髪から覗く、彼女の瞳のような、青色の補聴器。
どこか上の空の気持ちでそれを眺めている内に自己紹介は終わっていた。この後は体育館で入学式か。
「降谷さん、次、体育館、移動」
「!……【ありがとうございます、萩原さん】」
「あ、もう苗字覚えて……って、このペースじゃ聴き取れないよな」
「???」
「えーっと……もう、苗字、覚えて、くれたんだ。しかも、漢字で」
「【お隣さんだから、頑張って覚えました】」
そう書いてふにゃりと微笑む降谷さんのことは、ほぼ初対面でも素直に可愛いと思った。
思い返せば、自分がこうしてなんの打算もなく女子に接するのは、小学校低学年以来かもしれない。女子の怖い一面を見てからは、なんとなく一枚壁を作るのが癖になってたし。
だけど不思議だ。彼女の前だと、敢えてだとかわざとだとか、そういう難しいことを考えずとも普通に接することが出来る。
可能性としては、会話を成り立たせるのに必死になってるから説。補聴器って意外に音拾わないんだな。理解。
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うな - 陣平ちゃんが最後らへんで言っていた、2人の結婚式は呼ぶって言ってたのに的な話のとこで止まりかけてた涙が一気に溢れてきました。萩も大怪我なのに最後まで彼女ちゃんを守ろうとしている所がもう…😭最後の写真もすごく素敵だし、大泣しました。大好きです。 (5月6日 15時) (レス) @page49 id: c7c459b30e (このIDを非表示/違反報告)
ひなみ - 読み終わった後、偶然、コナンのEDにもなった「ジューンブライド〜あなたしか見えない〜」を聴いたんですが、この曲の歌詞が妙にこの作品に合っている気がして、またこの作品を思い出して泣いてしまいました。心に残る素敵な作品をありがとうございました。 (2022年10月16日 17時) (レス) id: ba9ab70415 (このIDを非表示/違反報告)
ひなみ - 読み終わった今も涙が止まりません…。まず二人が助からないと分かったところで大号泣、夢主が既に亡くなっていたと分かったところで大号泣、最後の写真で大号泣…。ずっとギャグだったから、こんな結末全く予測していませんでした…。 (2022年10月16日 15時) (レス) @page49 id: ba9ab70415 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 最後のイラストで涙が止まらなくなりました😭 (2022年6月23日 22時) (レス) id: 1cfa02e0c5 (このIDを非表示/違反報告)
ルリ(プロフ) - まさかの結末で涙が止まらない、、、 (2022年6月14日 19時) (レス) @page48 id: 2eb7e133f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無糖 | 作成日時:2021年7月25日 15時