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山田の手首を掴んだまま、またベッドに横たわる。

昨日みたいに消えちゃ困るから、なんて。




「大ちゃん、…手、…」

「このままがいい」

「でもどうすんの、……伊野尾ちゃんとか帰ってきたら、」




前から、気付いてたことがひとつある。

山田は俺といると、よく伊野ちゃんの名前を出す。そして、自分から話題を振っておきながら、楽しくなさそうな、苦しそうな顔をする。


でも、今の山田の一言で分かった。

妙に強調された、伊野ちゃんの名前。
伊野ちゃんが帰ってくるから、と離そうと力を込めるその手。


もしかして、




「俺が伊野ちゃんのこと好きだと思ってる?」

「…っ、は?」

「俺の好きな人伊野ちゃんだと思ってる?」

「……」




図星

誰が見てもわかるその表情に、
失礼ながら、くすりと笑ってしまう。




「な、んで笑うの」

「いや、なんでそうなるのかなって」

「だって大ちゃん伊野尾ちゃんのことが好きだって…!」

「友達としての、好き、な?恋愛感情なんて持たねぇよ。あんな雄也さん一色なやつ」




ほんとに、?なんて、少し涙目プラス上目遣いで言われて。隠そうとしてた気持ちなんて、

あっという間に山田の力で引きずり出される。




「俺が好きなの山田だし」

「…え、」

「……好きだよ、山田」




5日越しの 好き の言葉

もっと早く、言いたかった
一目惚れなんだし。




「ま、待って、大ちゃん…ちょ、意味わかんな、」

「冗談とかじゃなくて。
初めて会った時から、山田が好きだよ」




握った山田の手首が、早く、強く、脈を打つ。

気付けば口に出してた言葉。
会って数日の奴にこんなこと言われて、迷惑じゃないだろうか。


引かれないだろうか。




「それだけ、伝えとこうと思ってさ!俺、もう少しで帰っちゃうし、後悔したくなかったから…」

「……」

「…お前、なんか言えよ、俺だけ恥ずいやつじゃんか」




手首をずーっと見つめる山田。
なんだよ、そんなに嫌かよ。

そう思って、そっと、その手を離した。



あー、やっぱ言わなきゃよかった?

言わなければ、気まずくならなかった、?




「…あー、頭痛くなってきた、俺もうちょい休むわ」

「……」

「山田も、もういいよ、俺平気だから」

「大ちゃん、」




やっと発したその声は、あまりに小さくて、
聞き取るのがやっと。

やっとのはずなのに、




「…俺も、だよ、」






その言葉だけ、はっきりと聞こえた。







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だんご(プロフ) - 綺麗な文章で素敵でした!arymちゃんと思いきや大好きなtkinも出てきて幸せでした。ありがとうございました! (2021年4月23日 14時) (レス) id: 75e27edd14 (このIDを非表示/違反報告)
もえ(プロフ) - 綺さん» ありがとうございます( ; ; )はい!待ってます♪ (2020年7月4日 10時) (レス) id: 8a2ad34e00 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - もえさん» 読んでいただいてありがとうございました!今のところ考えてないので何かいいお話が浮かべば書かせていただきますね! (2020年7月4日 6時) (レス) id: d4403408f6 (このIDを非表示/違反報告)
もえ(プロフ) - 完結おめでとうございます!もし宜しければ番外編等書いて欲しいです! (2020年7月4日 2時) (レス) id: 8a2ad34e00 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 盟さん» こちらこそ読んでいただいてありがとうございました!これからもよろしくお願いします! (2020年7月3日 12時) (レス) id: d4403408f6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年6月4日 8時

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