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‥
「…っ、はぁ、山田…！」
あんな距離を走ったせいで声が掠れて山田の元まで届きやしない。ずっと海を見つめて、ぼーっとしている。
俺と同じく傘を持っていない山田は、雨に打たれて、少し震えていた。
何してんだよ、今日は1日雨だって
予報で言ってたろ、
震えているのを見た瞬間、
何故か、急に、「俺が守らなきゃ」なんて烏滸がましい気持ちが溢れ出して
少し縮こまる山田が少しでも暖まるようにと、
後ろから、抱きしめた。
「…っわ、……だいちゃん、？」
「何してんだよこんなとこで、」
「…覚えてたの、ここ」
「ここしかねぇと思った」
そう言うと「ははっ」って笑った山田。
馬鹿にした笑いじゃなく、なんだか虚しさを纏った笑い。
「…てか、離してよ、だいちゃん、俺びちゃびちゃだし」
「俺だって濡れてんだから、関係ねぇよ」
「……いーから、離して、」
俺の腕を離そうとする山田の手は、雨のせいか酷く冷たい。それに、震えてる。
離せない。離さない方がいいと思った、
離したら、なんか、いなくなっちゃう気がした。
「あ、大ちゃんもしかしてお腹空いたの？
そっか、俺ご飯も作ってないもんね、ごめんね、迷惑かけて…すぐ戻ってご飯作るから…」
「…」
「大ちゃん、聞いてる、？」
「…心配した」
「…？ごめん、雨で聞こえなかった、…なんて、？」
まるで俺の言葉を遮るように、俺に何も言わせないように、言葉を並べたてる山田。
嫌だ、山田のこういうとこ。
自分のこと全部隠すみたいな、そういうとこ。
散々人に興味持たせといて、
肝心なとこは見せない、ずるいとこ。
「だから、山田がいなくて心配したって言ってんの、！」
「…っ、」
「こんな時間にこんな雨の中、お前1人で出てって事故にでもあったらどうすんだよ！」
自然と、抱きしめる腕に力が入った。
そう、心配なんだ。
たまに山田が見せる悲しげな目が、勝手に脳内に浮かび上がるから。
海の中に消えちゃうんじゃないかってくらい
不安になるから。
「…ごめんね、」
「…お願いだから、いなくならないで」
「だいちゃ、」
「俺の前から、消えないで」
山田を後ろから抱きしめてるせいで山田の顔は見えないけど、俺の腕に、雨とは違う温かい雫が
ぽとりと、落ちた気がした。
‥
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だんご(プロフ) - 綺麗な文章で素敵でした！arymちゃんと思いきや大好きなtkinも出てきて幸せでした。ありがとうございました！ (2021年4月23日 14時) (
レス) id: 75e27edd14 (このIDを非表示/違反報告)
もえ(プロフ) - 綺さん» ありがとうございます（ ; ; ）はい！待ってます♪ (2020年7月4日 10時) (レス) id: 8a2ad34e00 (このIDを非表示/違反報告)
綺(プロフ) - もえさん» 読んでいただいてありがとうございました！今のところ考えてないので何かいいお話が浮かべば書かせていただきますね！ (2020年7月4日 6時) (レス) id: d4403408f6 (このIDを非表示/違反報告)
もえ(プロフ) - 完結おめでとうございます！もし宜しければ番外編等書いて欲しいです！ (2020年7月4日 2時) (レス) id: 8a2ad34e00 (このIDを非表示/違反報告)
綺(プロフ) - 盟さん» こちらこそ読んでいただいてありがとうございました！これからもよろしくお願いします！ (2020年7月3日 12時) (レス) id: d4403408f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綺 | 作成日時：2020年6月4日 8時
