Irreversible《 ytym 》 Ⅱ (ページ9)

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‥

その次の日、父さんが帰ってくるのより少し早くに、やまを家に呼んだ。
リビングのソファーに縮こまるように座っている。

緊張するのも無理はないか…。

やまの隣に座って手を握っていると、玄関のドアが開く音がした。玄関の方から戻ってきた家政婦が合図を出すように首を縦に1度振る。

「父さん、おかえり」

「ああ、ただいま…………裕翔、」

「今日は恋人を紹介したくて」

「俺は認めないと言ったはずだぞ」

そう父さんから言葉が返されて一瞬やまが気まづそうに俯いたけど、すぐに顔を上げて立ち上がった。

「…先日は、ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした、」

「別にどうでもいい。オメガなんてそんなもんだろう」

「……」

「父さん、そんな言い方」

やまがまた顔を顰めるのを見て、胸が痛くなった。どうして、認めてくれないんだろう。

そう思っていると、やまが口を開いた。

「…僕の名前は、山田涼介といいます
今日は、お父様の許可を貰いたくて来ました」

「だから俺は…」

「裕翔さんの、…番にならせてください、」

やまが昨日言葉にした、思い。
嬉しかった。俺と同じだったことが。

同時に、やまは自分の気持ちを隠す癖があるのかもしれないと思った。だから、今こうやって父さん相手に真っ直ぐぶつかっているやまが、

なんだか、かっこよくて。
やまは素敵な人間だ、と改めて思い知らされる。

「ダメだ。うちの裕翔はアルファの女性と結婚すると…」

「それは、父さんが違ったからでしょ」

「……」

俺がそう言うと、父さんは驚いたように目を開かせた後、俺達の向かいのソファーに座った。

「…聞いたのか」

あの日家政婦から聞いた俺に隠されてた秘密。

父さんが認めてくれないのはこれのせいだ、とすぐ分かった。

「裕翔…？何の話、…？」

「俺の母さんも、…オメガだったって」

核心を突かれたのか父さんは黙り込んで
やまの顔を1度見て、ため息をついた。

‥