Irreversible《 ytym 》 Ⅱ (ページ7)

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‥

次の日も、同じ時刻にインターホンが押された。

いつもなら家政婦が出るけど、あんな写真を見た手前、俺が出ないわけにいかない。
どういうつもりなのか、聞かないと。

インターホン越しには何も答えず、すぐにドアを開けた。入口の門の前に立つ、やま。

俺の姿を見て、目を見開いた。

「ゆう、と…」

「入って、？」

手招きして呼ぶと、周りをキョロキョロしてから俺の家へと入った。
手首を掴んで部屋まで連れて行く。

そういえば、家に上げるのは初めてか。

「そこ座って」

「あの、裕翔…」

「……何してたの。毎日、」

「……」

声は出さずに、口だけパクパクと動かしてるやま。
ベッドに座ったやまの隣に座ると、

俺の手を焦ったように掴んだ。

「いいよ、ゆっくりで。…どうしたの？」

「……いか、ないで」

「え？」

「…俺を、置いていかないで」

やまの瞳に映る俺がゆらゆらと揺れる。
やまが泣いている、と気付いた。

置いていく、なんてそんなこと匂わせてもいないはずなのに。どうして急に。

「…裕翔はきっと、女の人と結婚して、子供作って、社長になって…」

「やま、落ち着いて、」

「…分かってる、俺は誰にも必要とされてないなんて。…でも、でも…」

「やま、」

息を荒らげながらどんどん言葉を発するやまが、自分を追い詰めているように見えて、胸が痛かった。

いつもと様子が違う、それなのに
何も出来ない。

「…裕翔が他の人と一緒になるなんて、そんなの嫌だ、」

「……やま、」

「俺は、裕翔がいなきゃ…嫌だよ、…」

そんな風にボロボロと涙を零す。
ベットのシーツに、やまの涙の跡が残った。

「ねえ、どうして番になっちゃいけないの、？」

「…俺には、裕翔しかいない。
でも裕翔には、選択肢がたくさんある。

いつか、番を解かれるかもしれないって思ったら、怖くて仕方ない…」

以前「俺を信じて」って言ったことがあるけど、その時に気付いた。やまは俺を信じていないんじゃない、信じてくれてるからこそ、過去のことも含めて

怖いんだ。

なんにも分かってなかった自分。

罪悪感を感じながら、やまを抱きしめた。
そして、ある決心をした。

‥