Irreversible《 ytym 》 Ⅱ (ページ11)

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(ym)

‥

番を見つけたことも無いし、子供が出来たこともない。それでもなんだか、裕翔のお母さんの気持ちが痛いほどにわかる。

オメガだから、なんて単純な理由付けるのは失礼かもしれないけど。

「お母様は確かに辛かったかもしれないけど、オメガはそんなの慣れっこです。本当に辛かったのは、きっとお父様の事だと思います」

「……」

「大切な人が周りに干渉されてるのを見るのが辛かったんです」

「あいつが死んだのは、俺のせいだと？」

辛かった

お父さんの話を聞いて、顔を顰める裕翔を見るのが。震えた手で俺の手を握る裕翔を見るのが。

裕翔の今考えてることが想像出来る。

「せいじゃなくて、為、です。お父様と裕翔の為に、消えたくなったんです」

「やま…、もういいよ、自分のこともあるし、辛いでしょ…？」

「…ほんとに辛いのは、裕翔でしょ」

「…っ、」

「お母様は2人の為に死ぬことを選びました。…それなら俺は、生きることを選びます」

平気そうな顔して、目にいっぱい涙溜めて。
こんな裕翔初めて見たけど、でも新しい裕翔を見れるのは嬉しくて幸せだった。

俺は、この人と一緒になるって、決めたんだ

「俺が裕翔に不釣り合いなのも分かってます。俺はオメガだから、沢山迷惑かけることもわかってます

…でも俺は、裕翔と、幸せになりたいです」

裕翔が、涙を零してふんわりと笑った。

‥