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15話 初めての仕事4 ページ15

沙奈江は憎しみと悔しさの目を瑠璃華に向ける。

戦争から生き延びて目の前にいる瑠璃華が志筑だったらいいのにと。

「なんで生きてるの?」

沙奈江はボソッと小さな声で瑠璃華に言う。

「私が生きている理由は世界の全てを知るためです。私は普通すら分かりません。嬉しいとかも

分からないんです。それを知るために私は今生きています。それからあなたに質問です。あなたは

なぜ和菓子屋を開かないのですか?」

沙奈江は今の声が聞こえてたのかと驚きながらため息をつく。

「志筑と二人で開くのが夢なの。私一人じゃ無理よ。」

「……あなたは本当にそれでいいのですか?確かに二人で開いて夢は叶います。でも志筑さんは

自分が死んだから店を開かないでほしいと言うでしょうか。あれだけ楽しそうに話していた様子だと

そうは思えません。」

沙奈江は涙目で瑠璃華を睨む。

お前にそんなこと言われたくないと訴えるような目だ。

「私一人じゃ何もできないのよ!!人は一人じゃ生きていけないの!」

「あなたは本当に一人でしょうか?あなたは今自分から一人になってるのでは?ここは人気のない

ひっそりとした場所。近くに家は見当たりませんでした。あなたから行かないと人とは出会わなさ

そうです。あなたが一歩踏み出せば友人が沢山出来るのではないのでしょうか。」

無表情のその顔が少し安心する。何考えてるのか分からないけど。こんなに理不尽に物を言って

勝手に怒ってる私に苛立ちを見せずただ励まそうとするこの子は優しすぎる。

「そうよ。ここには人がいないの。ねえ瑠璃華。私、店開いた方がいいかな?」

名前で呼ばれなかったのにいきなり名前で呼んできたので瑠璃華は少し驚く。

「私は沙奈江さんがお店を開いたら行きますよ。決めるのはあなたです。人生間違えることだって

沢山ありますよ。私だって戦争に出たのは間違いか合ってたのか分かりません。あなたはこのまま

ここで一人で生きるか、店を開いて沢山の人と繋がりを持つか、また違うことをやるか。沢山

悩んで決めればいいんですよ。」

私は店を開きたい。でもそれは一緒に開こうと約束した志筑を置いていってしまうような気がして

決意できないのだ。

「私ね、和菓子屋開きたいの。でも志筑を置いて行く気がしてさ…志筑は他に何か言ってた?」

瑠璃華は寺の中での記憶を思い出せる限り思い出した。

「あ。」

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さな(プロフ) - 大手裏剣@大量更新期間中さん» ありがとう!! (2019年3月28日 13時) (レス) id: a43d45e5aa (このIDを非表示/違反報告)
大手裏剣@大量更新期間中(プロフ) - おかえり〜!更新頑張って……! (2019年3月28日 13時) (レス) id: c371649f9d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さな | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kyo12271/  
作成日時:2019年3月27日 19時

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