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2話 瑠璃華という少女2 ページ2

「瑠璃華、座っていいんだぞ?」

立ったままの瑠璃華を見て銀時はそう言った。瑠璃華は座布団の上に座る。

銀時は傷の消毒を始めた。

「しみると思うけど我慢しろよ。」

傷口に消毒液をかけるが瑠璃華は顔色一つ変えずに傷口をじっと見る。

「痛くねェ?」

「大丈夫です。」

高杉だって歯をくいしばるくらいの傷なのにと思いながら銀時は消毒を終えて薬を塗ってガーゼを

当てて包帯を巻く。

「ありがとうございます。隊長は怪我ないですか?」

「ああ、俺はない。今日はもう休んでていいぞ。」

銀時はそう言って救急箱を元の場所に戻して部屋を出るために戸の方へ歩く。

「私も行きます。」

銀時は足を止めて瑠璃華の方を見る。

「私に出来ることなら私がやります。」

機械人形のように感情のない声で瑠璃華は銀時に言う。

「いや、怪我してるし休んだ方が…」

「こんなの怪我のうちに入りません。」

銀時の言葉を遮って瑠璃華は言った。

「今は休めと言うのが指令ですか?」

銀時は指令という言葉を聞き眉間にしわを寄せる。

瑠璃華は銀時のいうことしか聞かない。そしてそれを指令と受け取る。銀時が殺せといえば殺す。

食えと言ったら食う。寝ろと言ったら寝る。死ねと言ったら…きっと死ぬだろう。そういう

少女なのだ。

だが全てを指令と受け取ってしまう瑠璃華に銀時は少し悲しさを感じていた。気遣いというものが

伝わらず、それも「指令か?」と聞く瑠璃華に悪意はない。だが自分が指令とかで言ってるわけ

ではないことを、いつも指令なんか見たいな硬い言葉で言ってるわけじゃないことも伝わらないのが

悲しくて寂しい。

「……ああ。」

でもそれをどう言い換えたら理解してくれるか分からない。だから指令というしか、今の俺には

できない。

「分かりました。気をつけてください。」

銀時はその言葉に頷いて部屋を出た。

これからヅラたちと会議だ。次の戦をどう進めるか。



会議が終わって部屋に戻ると瑠璃華は綺麗に正座していた。

「寝ててよかったんだぞ?」

「睡眠は一時間半ほどあれば私には十分です。それより明日の私の動きは?」

「今日と同じだ。俺と一緒に来て天人が来たら殺す。」

「分かりました。」

瑠璃華は何の抵抗もなく返事をする。なんの迷いもない目。

こんな幼い少女に人殺しをさせていることに対する罪悪感が半端無い。

この子が俺たちと一緒に戦争に出ない道だってあったはずなのに。

3話 爆弾→←1話 瑠璃華という少女



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さな(プロフ) - 大手裏剣@大量更新期間中さん» ありがとう!! (2019年3月28日 13時) (レス) id: a43d45e5aa (このIDを非表示/違反報告)
大手裏剣@大量更新期間中(プロフ) - おかえり〜!更新頑張って……! (2019年3月28日 13時) (レス) id: c371649f9d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さな | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kyo12271/  
作成日時:2019年3月27日 19時

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