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「でも普段、実行してることばかり書いてたから、あんまり役に立たなかった」
涼しい顔をしてその本を閉じては、私に手渡してくる。
「Aも読んだら?
勉強になると思うけど」
「…いらない」
「結婚生活がうまくいくらしいよ?」
って、完全にからかいにきてるし!
「そんなに結婚生活が心配なんだ?渉さんは」
だから私も逆襲。
わざとそのすました顔を、下から覗き込んでやる。
「Aとは一生を共にするんだから、当然じゃない?」
完全に開き直った彼は、そんなことを言いながら私の髪に手を伸ばす。
「髪、拭いたら?
濡れたままにしてると風邪ひくよ」
「話を逸らそうとしてる?」
「まさか
Aに風邪を引かれたら困るから」
「何で困るの?」
「ハネムーンはあと残り僅かなのに、Aに寝込まれたら看病で終わっちゃうじゃん」
愛想なくそう言うと、彼は肩にかかってるバスタオルで私の髪を拭き始める。
この人はもしかしたら、私の為になら何でもやってくれるんじゃないかなと、錯覚してしまうほどの甲斐甲斐しさ。
さんざん髪を拭いてもらったあと、今度は試すみたいに次の指令をお願いしてみる。
「疲れた」
「うん」
「部屋に帰りたい」
「いいよ、帰る?」
「でも、疲れて歩けない」
さすがに彼は呆れ顔で私を見てるけど。
お姫様抱っことは言わないよ。
私も水着がまだ湿ってるし。
でもね、肩を貸してくれるとか、手を繋いで連れ帰ってくれるとか、いろいろあるじゃん。
彼がどう出るのかをじっと観察していたら、
何故か私の前に立っては、くるりと背中を向けた。
「…何?」
「おぶって行くから
歩けないんだろ?」
…彼はバカだ。
てんで、冗談が通じない。
だけど、その気持ちはありがたく受け取っておくね。
わざわざ椅子の上に立って、彼の背中にしがみつけば、
温かい彼の手が太ももに直に触れてくる。
「…重い?」
「重い」
そんなことを言いながら、彼は砂浜に足を取られながらも、部屋まで連れ帰ってくれた。
「とりあえず、そこに座ってて
お湯張りしてくるから」
私をウッドデッキのベンチに放置すると、またバスタオルを頭から被せて、彼は慌ただしくバスルームへ消えていく。
しばらくして帰ってきた彼は、乾いたバスタオル片手に隣に座ってきた。
「さっき、重かった?」
「おんぶ?
まあ、重かったけど」
「もうしたくない?」
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りたわかめ(プロフ) - keitoさん» コメントも更新も遅くて申し訳ございません(T_T)一年も育休なんて、今の時代はありえないですよね。新しい慣習を作るという意味で一年もアリなんじゃないかと思いましてw (2021年1月3日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - keitoさん» コメントも更新も遅くて申し訳ございません(T_T)一年も育休なんて、今の時代はありえないですよね。新しい慣習を作るという意味で一年もアリなんじゃないかと思いましてw (2021年1月3日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - ひろさん» コメントも更新も遅くて申し訳ございません。またのんびり更新していきたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。 (2021年1月3日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
keito(プロフ) - 待ってました!てか出遅れました。ふふ、実際にパパが1年育休取ったら、気まずくて逆に雰囲気悪くなりそうですね( ̄ー ̄)ニヤリ (2020年9月8日 19時) (レス) id: 2c3e1bcaf4 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - 待ってましたー!!!唇とマーマレード、すごく好きです(;A;)何回読んだことか!!また更新待ってます〜〜 (2020年9月7日 23時) (レス) id: 57f2f46317 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りたわかめ | 作成日時:2019年10月12日 23時