唇とマーマレード 5

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案の定彼は、乗り気じゃない顔をしていたけど、そんなの無視して決行することにした。

家へ戻る新幹線の中、私達はタブレットで情報収集。

今は夏休みに入る前だから、少しは空いてんじゃないかな。

どうせ泊まるならとミラコスタのいい部屋を予約して、チケットも手配した。

「渉さんはディズニーリゾートとか行ったことある？」

「ない」

不愛想にそう答えると、やっぱり気乗りしない感じでシートに深くもたれかかる。

「今まで友達に誘われたことなかった？」

「あったけど、断った」

「何で？」

「人多いじゃん、あそこ
それに誘われた時も大勢で行こうみたいな感じだったし」

要するに団体行動と人の多い場所が好きじゃないってことね？

それなら最初は少しアダルトなシーから攻めて、ちょっとディズニー慣れしてきたところで翌日はランドにしようかな。

本当は２泊くらいしたかったのに、彼の無言の圧力で１泊にさせられてしまった。









翌朝、彼よりも先に起きて支度を始める私を見て、

「珍しくない？
Aが自分で起きるなんて」

そんな風に苦笑いをされるほど、ワクワクが止まらないんだ。

なんだったら、昨日の夜も楽しみ過ぎてよく眠れなかった。

「そんなに好きだったんだ？ディズニーランド」

当たり前じゃん！

ディズニーランドでテンション上がらない人って、逆にいるの？って感じなんだけど。








数時間後、ゲートに着いた途端に彼は顔をしかめた。

「まだ開いてないのに、何でこんなに人がいるわけ？」

「開場を待ってるんだけど」

信じられないって顔をした彼は、それでもおとなしく並び始める。

インパしてもそう。

すごい勢いで入場していく人達や長蛇の列を見ては、いちいち目を丸くしてる。

さて、最初が肝心だよね。

最初にのるアトラクションは、昨日の夜からこれに決めていた。

前に彼とこの映画を見たことがあったから。

映画好きの彼には、まずはセンターオブジアースだと思ったんだ。









開演直後だということもあって、待ち時間もほとんどなく乗れたんだけど、出口に向かいながら彼は、

「なるほどね
みんながディズニーランドに行こうって騒ぐ意味がわかってきた」

と言うようにまでなっていた。

次々彼の好きそうなアトラクションに乗って、パークをうろうろしているうちに、ようやく日が陰ってくる。

初夏の日没は遅くて、私達は夕日を見ながら運河沿いのオープンテラスで夕食をとっていた。

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