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夕食のポトフのお陰か体がポカポカと暖かくて、その夜はかなり早い時間に眠りについてしまった。
彼が本当に来るのかどうか、確かめてから寝たかったのに。
ここんとこの私は悩ましいことばかりが続いて、心身ともに疲れてたんだけど、
今夜は何故だか、安心して眠れそうな気がした。
だけど、遠慮がちにカチャリとドアが開く音で、薄っすらと意識が戻る。
シーツの衣擦れの音と、やんわりと揺れるベッドの感覚で、本格的に目が覚めた。
…ほんとに来ちゃった!
自分でお願いしておいてなんなんだけど、
てっきり、私が寝てるのを確認して、そのまま自分の寝室で寝るんだとばかり思ってた!
ほんのりと背中が暖かくなって、彼の胸が背中にやんわりと押し当てられて。
…なんだか、不思議な感覚に陥った。
好きな人に抱かれてるわけじゃないから、幸福感はない。
だけど、異常なくらいに安心感はある。
彼は、2,3度私の髪を緩く撫でると、5分も経たないうちに静かになってしまった。
本当に彼の寝息は、生きてんのかなと思わせるくらい静かで。
体温はこんなに暖かいけど、
もしかしたらアンドロイドなんじゃないかと、くだらない想像をしてしまうくらい。
だけど、この安心感は悪くない。
その夜から、私達は一緒に眠るようになった。
「は?それってお母さんと添い寝的な?」
昼休みに私達の進捗を聞かれて、正直に話しただけなのに、太輔は眉間に皺を寄せる。
「Aはそれで満足なわけ?」
「意外と満足
すごく優しくしてくれるし、面倒見てくれるし
愛されてるって感じ」
「女としては愛されてないのに?」
ほらまた、そんな言い方をして、すぐに私を現実に引き戻す。
いいんだよ、もう私の恋愛人生は終わってるんだから。
家族としてでも愛してくれてるなら、それでよくない?
「旦那さんってさ、本当はAのことが好きなのに気づいてないとか」
「それはない」
「言い切れんの?」
「言い切れる
だって普通、好きな人と毎日同じベッドで寝てて、清い関係でいられる?」
「…まあ、無理かもね」
「背中からハグとかして寝てんだよ
私が布団を蹴飛ばしてたら、そっと直してくれたり」
「それって母親じゃん」
そう、彼はもうそのジャンルで私を愛してくれてんだから、それでいいの。
「試してみたら?一度」
「何を」
「旦那さんに恋愛感情があるのかどうか
俺を使ってくれてもいいし」
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わかめ(プロフ) - Mayさん» 不器用な感じが出ててよかったです(/ω\*)そして、新キャラ加入しました(T△T) (2019年2月10日 0時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
May(プロフ) - 切ないです、、なんて不器用な二人!秘書の人嫌な感じだけど大丈夫ですかね(>_<) (2019年2月8日 7時) (レス) id: 9190cd750e (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - かんこさん» 実は電話番号が聞きたかったんですねーwしかも聞くタイミングを完全に失ってたというwwwぼちぼち更新してますのでまた読んでやってくださいm(_ _)m (2019年1月19日 0時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆなさん» コミュ障!まさにそんな感じです(/ω\*)渉さんが可愛い人に変わったとか、ありがとうございますm(_ _)mまた読んでくださるとうれしいです♪ (2019年1月19日 0時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - 華子さん» はじめまして!コメントありがとうございますm(_ _)m不器用な渉さんが今後成長していけるのか、また読んでくださるとうれしいですm(_ _)m (2019年1月19日 0時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わかめ | 作成日時:2018年12月19日 23時