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翌朝のことはよく覚えていない。

あの後も私は全然寝付けなくて、深夜のうちに雪もやんでいて、

昼過ぎにはホテルを後にすることになった。

だけど、その間も私達の会話は弾まない。

むしろ前より悪くなってる感じで、車中もずっと沈黙が続く。

私が思うに、こっちの方が私達らしいと思うんだ。

結婚式の夜だってこんな感じだったじゃん。

恋愛感情のない友人の延長みたいな結婚生活なんて、わたしには到底無理だ。

昔から、白黒どちらかに決めたがるタイプな私が、黒寄りのグレーな結婚生活なんて送れるはずがない。









部屋に戻ってきたのは、もう夜遅くなってからだった。

いつもなら違うドアに入っていく私達なのに、今日は違う。

前を歩いてた彼は、キーケースから私の部屋の鍵を取り出して開け始めた。

ああ…、やっぱり新婚生活のやり直しって本当だったんだ。

気まずさからか、私はすぐに洗濯機を回し始めて、バスタブにお湯を張ってみたり、

とにかく彼と顔を合わせないようにしみたり。

その間、彼はキッチンの奥の秘密の扉を解放したまま、向こうの部屋とこちらの部屋を忙しなく往復していた。









ドアの向こうをこっそり覗き込んでみたら、彼の部屋からも洗濯機を回す音が聞こえてくる。

洗濯機はどこに置いてるんだろ。

純粋な好奇心で、ドアの向こうに足を踏み込んでみた。

薄暗い廊下を抜けた先には、意外に広いリビングとドアが開けっ放しの寝室。

その寝室を覗いてみたら、壁際に寄せられたセミダブルくらいのベッドが見えた。

私の使ってる寝室と全然違うじゃん。

あの寝室の家具も彼が選んだんだよね?

寝室の中央にドーンとキングサイズのベッドとか、どういう気持ちで選んだんだろ。

「ここにいたんだ?」

背後から声を掛けられて、大げさに体がビクッと揺れてしまう。

そんな私を見て、また彼は切なそうに目を伏せた。

「ごめんね、勝手に入っちゃった」

「いいけど、別に」

彼は私を追い越して寝室に入り、

クローゼットを開けてしばらく考え込んでから、すぐに閉めてしまった。









「私の寝室と全然違うね
ベッドだって小さいし
やっぱり1人で寝る為に買ったベッドだから?」

そう聞いても、彼は何も答えてくれない。

「私の寝室のベッドも、これくらいのサイズでよかったのに」

やっぱり彼は無反応でベッドメイキングを始めるから、なんだか心がモヤモヤしてきた。

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わかめ(プロフ) - Mayさん» 不器用な感じが出ててよかったです(/ω\*)そして、新キャラ加入しました(T△T) (2019年2月10日 0時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
May(プロフ) - 切ないです、、なんて不器用な二人!秘書の人嫌な感じだけど大丈夫ですかね(>_<) (2019年2月8日 7時) (レス) id: 9190cd750e (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - かんこさん» 実は電話番号が聞きたかったんですねーwしかも聞くタイミングを完全に失ってたというwwwぼちぼち更新してますのでまた読んでやってくださいm(_ _)m (2019年1月19日 0時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆなさん» コミュ障!まさにそんな感じです(/ω\*)渉さんが可愛い人に変わったとか、ありがとうございますm(_ _)mまた読んでくださるとうれしいです♪ (2019年1月19日 0時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - 華子さん» はじめまして!コメントありがとうございますm(_ _)m不器用な渉さんが今後成長していけるのか、また読んでくださるとうれしいですm(_ _)m (2019年1月19日 0時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2018年12月19日 23時

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