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食品売り場から撤退した私は、最上階のカフェへ避難して、
１人で冷静にさっきの状況を推考してみる。
だけど、どんなに考えてもあれはクリスマスデートで。
彼はまだ瑠璃子さんのことが好きだったってことだよね。
彼の言う「人を好きになれない」っていうのは、私を傷つけないための牽制だったんだと思う。
なのに私は、真面目にその言葉を信じ込んで。
…本当にバカじゃん。
しばらくしたら若葉から電話がかかってくる。
「A様、今どこにいらっしゃいます？」
珍しく慌てた声で。
「最上階のカフェだよ」
返事もなしに急いで切られた電話の後、すぐに若葉が息を切らしてカフェに入ってきた。
向かいの席に着くと、私の水を一気飲みしては、
「えらいことになりましたね」
なんて言いながら、私をじっと観察してくる。
「何？」
「意外に落ち着いてらっしゃいますね
私なら今頃、大暴れしてますけど」
「大暴れって、どんな風に？」
「私がA様なら、渉様か瑠璃子様のどちらかをぶん殴ってますね」
「若葉って、瑠璃子さんをお慕いしてたんじゃなかった？」
「そうですけど、今回のことでそういう感情は一切なくなりました」
若葉はテーブルに届いたアイスコーヒーですら、一気に飲み干してしまう。
「いくら２人が愛し合っていたとしても、
結婚して初めてのクリスマスっていう日に逢引とか…
正直、許せません
瑠璃子様も渉様も」
若葉があんまり怒ってるから、私のガチガチだった感情もだんだん柔らかくなっていく。
「私は断然、A様の味方ですから！」
「あれ？若葉って、私のこと気に入らないんじゃなかったっけ？」
「…まあ、確かに当初はそうでしたけど
こうやってお仕えしてる間に、A様を妹のように思うようになりました
いじらしくて、愛しくて、愛さずにはいられない存在なんです、A様は」
「妹！？
私達って、同い年じゃなかった？」
「そうですけど、A様って１人じゃ何もできないじゃないですか
私が起こさないと朝も起きれないし、脱いだ上着はそのままだし、靴はいつも脱ぎ散らかしてるし」
確かに…、私は若葉に甘えてる節はあるけど。
妹はあんまりじゃない？
「じゃあ、お慕いしてる？」
「お慕いしてるとは違いますね
我が子のように、面倒を見ても全く苦痛じゃない存在とでも申しましょうか」
…本当に、若葉は意地が悪い。
でもね、若葉がいてくれることで、今の私はだいぶ救われてるんだ。
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まいまい(プロフ) - あー、面白すぎます！！今頃この作品に気づきました。渉さんが愛に気づくことが出来ますように。こういうストーリーに入り込んだのは初めてです。とても面白くて、大好きなお話です。 (2021年5月4日 7時) (
レス) id: d8ffbdef31 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - keitoさん» 確かに！なんかその２人、しっくりきますよね！言われてみればって感じで納得です！ (2018年12月20日 13時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - saryuさん» はじめまして。コメントありがとうございました。今のところ毎日更新ですが、いつ止まっちゃうかわかんないんで、ちょっとドキドキしながら書いてます(/ω＼) (2018年12月20日 13時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
keito(プロフ) - 好きすぎて実写化するならば…と、役者を思い浮かべてます。まずは主人公ちゃん。ガッキー、はるさん…うーん。なんて考えてたらシリアスなシーンでサスペンスかよってつっこんでしまいました。緩急が心地いい(*´ω｀*) (2018年12月19日 11時) (レス) id: 91adf91c90 (このIDを非表示/違反報告)
saryu(プロフ) - はじめまして、毎日ワクワクしながら更新待ってます。 (2018年12月19日 1時) (レス) id: 1be03817b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わかめ
| 作成日時：2018年11月16日 8時
