【HP】ジョージ・ウィーズリーと結婚するお話⑫＊謎のプリンス＊ (ページ3)

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＊社会人の朝ページ3

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静かな部屋にハサミの音が響いている。窓を見ると森の動物達が目を覚まし、活動を始める音が聞こえてくる。みんな朝から元気だ。ふぁぁと欠伸を噛み殺した。

シル「お嬢様！動かないでください！」

金切り声で屋敷しもべのシルキーに怒られた。私は素直に謝り、まっすぐ前を向いた。チョキ…チョキ…と耳のすぐ近くでハサミが髪の毛を切る音がする。時折、切られた毛がヒラヒラと舞って顔に張り付いてくるのでくすぐったかった。取ろうとすると怒られるので、頑張って我慢した。

シル「……できました！どうですか？」

シルキーが脚立から降りて、手鏡を渡してきた。角度を変えて確認してみる…うん、いい感じだ。

「ありがとう！さっぱりしていい感じね」

シルキーは満足そうに笑みを浮かべると、パチンと指を鳴らした。灰色のケープが首から離れてふわりと宙に浮かんだ。床に散らばった髪の毛が一つにまとまると、ゴミ箱の中へ吸い込まれていった。

シル「さて、朝食の準備をします！」

「シルキー、少しだけ外に出ていい？」

シル「構いませんが、森の奥深くへ行ってはなりません。カトレア様とエディック様がかけた保護魔法が弱くなってる場所がありますから」

「大丈夫、家から見える場所にしか行かないから」

丈の長いジャンパーを羽織り、外に出た。イギリスの７月の朝は少し肌寒い。ふぅと深呼吸してから森の入り口を見渡した。庭のベンチに座り、軽くなった後ろ髪に触れているとバサバサと翼を上下する音が聞こえてきた。その音の正体はチャコモリフクロウのチョコだ。チョコは私の隣に止まると、くわえている茶色の羽をゆらゆらと揺らした。

「おはよう、その羽どうしたの？」

チョ(ああ、これ？僕の羽！最近気になってるあの子にプレゼントするためさ)

チョコは自信満々に羽を見せつけてきた。

「求愛行動ってやつだね。ふふ、素敵ね」

チョ(ああ、でも彼女は気が強いんだ…僕の羽受け取ってくれるかな？)

「チョコは賢いフクロウでしょ？きっと大丈夫よ！」

チョコの背中を優しく撫でると、嘴を近づけて私に羽を差し出した。