求婚...年の差 (ページ50)

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５０話目ページ50

「商品のお受け渡しは１０日後になります。」

「よろしくお願いします。」

領収書を受け取ると、頭を下げて店を出た。

慣れない作業に肩が凝った俺は、思い切り背伸びをして深呼吸をする。

スマホで時間を確認すると22時を過ぎていて、LINEのマークがついている事に気付いた。

開けてみるとAからで、

『お仕事お疲れ様です。今日は体育でしごかれまくって疲れました。少し早いけど、もう寝ます。おやすみなさい。』

というメッセージと、可愛らしいクマが居眠りをしているスタンプ。

『俺も疲れた。また連絡する。』

そう返事をするとすぐに既読が付き、またスタンプが送られてきた。

「うっし、明日も早ぇから、とっとと帰るか！」

スマホをポケットに入れると、タクシーを掴まえて自宅に帰り着いた。

１０日後、アクセサリー屋から「出来ました。」との連絡を受け、夕方に仕事が一段落したのを見計らって取りに行こうと身支度をしていた。

バーーーーーンッ！

事務所のドアがけたたましい音を響かせる。

(...あ？)

ドアの方に行くと、Aが突っ立っていた。

「もう少し静かに「勝己兄ちゃんなんか...大っ嫌い！！」」

いきなり怒り出して、俺に向かって雑誌を投げ付けてくる。

「危ねぇだろうが！何し「もう...もう別れる！！」」

うぅ...と顔を歪ませたかと思うと、大粒の涙をボロボロとこぼして泣きじゃくり始めた。

「な...何泣いて「さよなら！！」」

俺が側に寄ろうとすると、猛ダッシュで走って逃げて行くA。

何がなんだかわからずに呆然としていると、クソ髪が慌てて事務所に駆け込んできた。

「Aちゃん、泣きながら出て行ったけど、何かあったのか！？」

「...わからねぇ。」

クソ髪が俺の足元に落ちている雑誌を手に取り、パラパラとめくると俺に押し付けながら叫んだ。

「原因はこれじゃねぇのか！おめぇ、モデルと熱愛って書かれてんぞ！！」

その雑誌を奪い取って読んでみると、モデルが初めて会った夜に俺に口説かれたと...インタビューを受けている。

「この...女...。」

クリスマス限定アクセサリーの撮影の時に、一緒だったモデルの女...。

「な...んだ、これはよぉ！！ざけんじゃねぇよ！！クソがぁぁぁ！！」

ビリビリに雑誌を破り捨てながら思い切り叫んだ。

「その女の...話題作りに使われたんだ、おめぇ...。」

クソ髪が苦虫を噛み潰したような表情で言った。