求婚...年の差 (ページ49)

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４９話目ページ49

(...指輪...か。)

店を出てから慌てて変装した俺は、考え事をしながら道を歩いていた。

後１ヶ月半もすれば世間はクリスマスで、俺達にとっては付き合って初めてのクリスマスを迎える事になる。

毎年クリスマスは、酔っ払って正体不明になった奴が個性を勝手に発動させて暴れたり、治安も悪くなる事から、ヒーローになって以来...休めた試しが無い。

本当なら一緒に飯でも食って、プレゼントの一つでも渡してやりてぇがそれは絶対に不可能な話で...。

さっきのあいつらの指輪を見て、クリスマスを一緒に過ごしてやれない代わりにアクセサリーをプレゼントしてやろうと考えていた。

(...指輪なんかしてるとこ...見た事ねぇな。サイズ聞いたとこでわかんねぇか？)

散々悩んで、無難なネックレスにする事に決めたものの...どんな物が流行してるのか、女もんに付いてはあまり知識が無い俺は、スマホで“高校生人気ネックレス”で検索をする。

(...何かちげぇな...。)

検索結果をいくら見ても...いまいちピンと来ない。

俺はスマホをポケットにしまうと手を上げてタクシーを止め、行き先を伝えながら乗り込んだ。

時計を見ると19時半。

(...間に合うか？確か20時までだったよな？)

ある店の前でタクシー降りると、急いで店のドアを開けた。

「ども。まだ大丈夫ですか？」

「はい、大丈夫ですよ。お久しぶりですね。」

ニッコリと、そこの店長である山縣さんが挨拶をしてくる。

行きつけのシルバーアクセサリー専門店で、ここは好きなデザインでオーダーメイド出来る事を思い出した俺は、閉店ギリギリで店に着いた。

「ネックレスを...オーダーしたくて。」

「オーダーメイドとはまた珍しい。いつもはパパッと選んで買われるのに。プレゼントですか？」

ぎこちなく頷いた俺の目の前に、カタログを何点か並べてくれた。

「この中から理想のデザインに近いをお選び下さい。」

「...はい。」

パラパラ...とカタログを捲り、何点かピックアップして山縣さんに伝えると、パソコンでその写真をプリントアウトしてテーブルに並べていく。

「星...のデザインが多いですね。」

「ハートは何か似合わねぇかな...と。多分まだアクセサリー自体付けた事無ぇような奴で...。」

「生まれて初めてのアクセサリー。きっと彼女さん喜ばれますね。」

「は、はぁ。」

顔が赤くなってくるのを感じた俺は、帽子を目深にかぶり直した。