３８話目 ページ38
ベットの上で眠る、Aの寝顔を見ながら...俺は猛反省していた。
Aの頬に残る...涙の跡...。
大人のくせに...余裕のない抱き方をしちまった。
大人っつっても...まだ23だけどよ...。
(とりあえず...シャワーでも浴びる...か。)
そっとAの頬にキスをして、俺はバスルームに向かった。
交接のあと独特の気だるさを消す為に、熱めのシャワーを浴びる。
(そういや、海に居たの...一瞬じゃねぇか。何やってんだよ、俺は。)
海を眺めるのを楽しみにしていたA...。
はぁ〜と溜息をつきながら部屋に戻ると、Aは目を覚ましていた。
迷子のガキのように、キョロキョロと辺りを眺めている。
「んなに見ても、何も面白ぇもんねぇだろ？」
「わっ！わっ！...勝己兄ちゃんっ！」
Aが俺を見て、驚いた声をあげた。
「は？んだよ？何かあったか？」
「そっ、その...格好...。」
「あ？バスタオル巻いてんだから問題ねぇだろ？」
「...恥ずかしい〜。」
顔を真っ赤にして、布団に潜り込んでいく。
「...んな...照れんなや！何か俺まで照れくさくなるわ！！」
ソファに腰を下ろすと、ペットボトルの水が目に入った。
「水、飲むか？」
「飲みたいけど...そっち行けない。」
「...シーツ巻いて来いや？」
「や、そじゃなくて...勝己兄ちゃん...服着てほしい。」
「...わーったよ。ったく、もっと恥ずかしい事してんのによ...。」
「いっ、言わないで...よ。」
チラッと布団から顔を出し、俺と目が合うとまた、布団に潜り込んだ。
「...いつまで潜ってるつもりだ？水飲んで、シャワー浴びて来い。」
声を掛けるとベッドの枕元に水をポン、と置いてやった。
「はーい。」
(...体は大人でも、中身はまだてんでガキだな。)
水を飲むAを見て、ため息をついた。
「おい、用意出来たか？」
バスルームに入ったっきり...出て来ないAに声を掛ける。
「うん、出来た！」
バスルームから出てくると、ソファに座る俺の隣に座り、顔をじっと見つめてきた。
「...あんま見んな、減っちまうわ」
「んー、かっこいいなって。」
「あ？」
「んふふ、すごいかっこよくて、初恋の人で、その人と付き合えて、その人と...あの...１つに...なれちゃって...幸せだなって思ったの！」
「もっと...幸せにしてやるから覚悟しとけや？」
Aを抱き寄せ、頬にそっと唇を合わせた。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2017年6月17日 11時
