３６話目 ページ36
「だ、大丈夫！？勝己兄ちゃん！」
Aは俺の背中をさすりながら、ハンカチを手渡してくる。
「ゲホッ...おま...大人っ...て。」
「え？確か未成年でも結婚すると、大人と同じ扱いになるんじゃなかったっけ？」
キョトンとした顔で言った。
Aの言葉を聞いて、思わず「そっちかよ！」と言ってしまった俺...。
「ん...うん。...えっ！？」
意味に気付いたらしいAの顔が、パァっと赤くなっていく。
(...うわ、余計な事...言っちまった。)
思わぬ失態に、焦りに焦りまくり...何も言葉が出て来ない。
「...そっちの大人も...良いよ。」
ボソッと蚊の鳴くような声で言った。
「あ？」
「私の初めては...全部、勝己兄ちゃんのものだから。」
そう言うと俺の胸に顔を埋めてくる。
「お...わかって...言ってんのか？」
「うん。ちゃんと...わかってる。私の初めて...貰って？」
恥ずかしそうに顔を擦り付けながら話した。
「...悪ぃ...我慢の限界だわ。」
理性が...崩壊していくのを感じる。
Aを抱きしめると、キャップのつばを後ろに回してそっと唇を合わせた。
ちゅ、ちゅ...と軽く唇を合わせるだけのキス。
ここまでは俺も...Aが嫌がればやめようとかろうじて考えていた。
ニュル...と突然、Aの舌が口内に差し込まれ、俺の舌を探して這い回る。
「んっ...ん...は...んっ。」
Aの口から漏れでる吐息が...俺の理性を完膚なきまでに崩壊させた...。
夢中でAの舌に舌を絡ませる。
混ざり合った唾液が...顎を伝い流れて来た。
「は...勝己...兄ちゃん。」
トロンとした目で俺を見つめ、シャツをギュッと握ってくる。
「...行くぞ。」
Aの手を引っ張って、砂浜を歩き出した。
完全に頭に血が登っている俺は...サングラスもかけず、キャップも後ろに回したまま。
「あっ！爆心地！」
「あれ、爆心地じゃねぇの！？」
潮干狩りの客が騒ぎ出すのも無視して、Aの手を握り歩いて行く。
ヘルメットをAに投げ付けると、「乗れ。」とだけ言った。
「何か...怒っ「怒ってねぇわ！！さっさと乗れや！！」」
「う、うん。」
Aは不安そうな顔をして、バイクにまたがってきた。
「掴まってろよ。」
俺は海沿いのホテルに向かって...バイクを走らせた。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2017年6月17日 11時
