３３話目 ページ33
「んだ...おま...何言って...。」
「サポート科に入って手伝いたかったの、勝己兄ちゃんを。」
手に持っていた書類が、パサ...と床に滑り落ちていく。
「...好きな奴...いなかった...のか？」
「私は...勝己兄ちゃんしか見てないよ、ずっと...。」
椅子を倒しながら勢い良く立ち上がると、Aの寝ているソファの前に座り込んだ。
「...勝己兄ちゃん...突然居なくなって...寂しかったんだよ？」
「...あぁ。」
「キスされた時...嬉しかったんだよ。」
「...そうか...よ。」
「抱きついて...良い？」
Aはそう言うと、ソファから降りて抱きついてきた。
(...マジ...か...。)
「...大好きだよ、勝己兄ちゃん...。」
そっとAの髪を撫でると、小さな細い体をぎゅっと抱きしめる。
「お前...小せぇな。」
「勝己兄ちゃんが...大きいんだよ。」
俺の頬に両手を添えると、唇を合わせてきたA。
「...やめろ...止めらんなく...なんぞ。」
顔を背けて言うと「お嫁さんになるから良いんだよ。」と笑いかけてきた。
「...女だな...お前。」
「うん、生まれた時からね。」
ガラガラガラッと理性が崩壊しかけた時に...大事な事を思い出した。
(やっべ、ゴム...持ってねぇわ。)
「...今日は無理...だ。」
「どし...て？」
「無理なもんは無理なんだよ！！酔いが覚めたんなら送ってやるから帰れ。」
「まだ...帰れないもん。」
「あ？何でだよ？」
上目遣いですねた顔をしたA。
「だってまだ...勝己兄ちゃんの気持ち...聞いてない。」
「んなもん...わかってん...だろ？」
「顔赤くするだけじゃ...わかんない。」
「だぁぁ！！...めんっどくせぇなぁぁ！...良いか...よく聞いと...けよ。
...A、俺と付き合え！」
「はい！喜んで！！」
この日から俺達は付き合う事に...なった。
俺23歳、A後3日で16歳。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2017年6月17日 11時
