求婚...年の差 (ページ27)

今日:3 hit、昨日:18 hit、合計:171,523 hit

２７話目ページ27

(...ガキか？青春してやがんな。)

そう思いながら通り過ぎようとした時...「お願いだから！」という男の声と、女の小さな悲鳴が聞こえてきた。

(...何...してんだ？)

公園の外から中の様子を伺うと、芝生に押し倒されて抵抗している女の姿が見える。

「おらぁぁぉ！てめぇ、何してやがんだぁぁぉ！」

「な、何も...」

「何もじゃねぇんだよ、何もじゃぁぁ！？女押し倒すって...」

倒れているのは...A...だった。

「勝己...兄ちゃん、その人...離し...て。」

Aの着衣が乱れているのを見て、俺は頭に血が登っていく。

「離してじゃねぇだろうがよ！んな事されてんのに何言ってんだ、あぁ？」

「良いから！離して！」

大声で叫び、涙目で俺に訴えかけてくる。

「...わーったよ。」

男は手を離すと、一目散に逃げ出して行った。

(...好きな男...か？)

胸が...チリチリと痛む。

Aを見ると、見事にブラウスのボタンが弾け飛んでいて、白い胸が見え隠れしている。

俺はスーツの上着を脱ぐと、肩にかけてやった。

「逃がして...良かったのかよ？」

「うん。大丈夫...かな？去年卒業した先輩。」

好きな人を追い掛ける...と言っていたのを思い出した。

(たった１年見ねぇ間に...大人になりやがって...。)

ガキの成長は目覚ましいとはいえ、背はあまり伸びてはいないが、顔付きや体付きが完全に女になっている。

チラチラと見える胸が気になって仕方なくなった俺は、スーツの前をバッと押さえ込んだ。

「...勝己兄ちゃん？」

「見えんだろ、胸...。」

「あ、あ、ごめんなさい！」

暗がりでもわかる位、顔を赤く染めたA。

(...仕草まで女になってんな。)

俺はゴクリ...と生唾を飲み込み、視線をそらした。

「勝己兄ちゃんが来てくれて助かった。」

ニッコリと笑い、スッと腕を絡ませてくる。

「ちゃんとスーツの前締めとけや！後、スーツがシワんなるから腕絡ませんな！」

俺が腕を振り払うと、ムスッとした顔で睨んできた。

「おら、さっさと帰んぞ。んな格好で外にいられねぇだろ。」

「ん！帰る！」

ガキの時の様に、俺の後ろをちょこちょこと付いて歩き出す。

「勝己兄ちゃん、独立の準備してるんだよね？」

「今日もその帰りだ。だからクソめんどくせぇネクタイも締めてた。」

「えー、見たかったなぁ！高校の時も滅多にしてなかったよね？」

そんな取り留めのない話をしながら、夜道をゆっくりと歩いて帰った。