求婚...年の差 (ページ26)

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２６話目ページ26

「勝己兄ちゃん、帰ってきたら勉強教えてね！」

「アホか！俺はそっちに帰ったら、独立に向けて動き回る予定で忙しいわ！」

「むぅ〜。独立するんだ？」

Aの声を聞いて、ふくれっ面をした顔が頭に浮かぶ。

「今お前、すげぇブサイクな顔してんだろ？」

クククッと笑うと「してない！」と言い返してきた。

「独立するの、勝己兄ちゃんの夢だったもんね！」

「あぁ、着々と近づいてってるけどな。」

「夏に帰ってきたら、１日位は勉強教えてほしいなぁ〜。」

「...暇ねぇっつってんだろ。ババアに電話代われ。」

「うん！待っててね！」

「おう。」

(...これでもう俺にまとわりついてくる事は...ねぇな。)

Aの事が好きかもしれない、という気持ちは胸の奥深くに封印した。

その日を境にパッタリとAの夢は見なくなり、思い悩む事も２度となかった。

「くっそあちぃな。」

日本に帰ってきた俺は、湿っぽい日本独特の暑さに辟易する。

ニューヨークも暑いには暑いが、同じ湿っぽくても日本よりかは数倍マシで...。

「空港着いたぞ、何処だ？」

ババアに電話をして迎えを待つ。

たった１年離れていただけなのに、久しぶりの日本は違って見える。

「勝己！お待たせ！」

「おっせぇわ、クソババア！」

「道が混んでたんだから仕方ないでしょ！」

「こっちは疲れてんだぞ！あ〜、風呂に入りてぇ〜。」

トランクに荷物を積み込み、助手席に乗り込むと、帽子を顔に被せて目を閉じる。

「勝己、Aちゃんね「寝る！」」

何故か...Aの話を聞く気になれず、ババアの話を遮った。

日本に戻って数週間が過ぎ、俺は目が回りそうな忙しさの中に居た。

元の事務所に挨拶にしに行ったり、独立に向けて人に会いに行ったり。

その間、Aは俺に会いに来る事は１度も無く、新しい恋を楽しんでるだろうと思っていた。

(あのクソ親父...酒が飲めねぇなら飲むんじゃねぇよ！)

滅多に着ないスーツ姿の俺。ネクタイを外しながら自宅に向かって歩いている。

事業計画を持って税理士に相談しに行ったら飲みに行こうと誘われ、断るのも...と付き合ったら酒が弱くてベロンベロンになりやがった。

その上酒癖が悪く、道を歩いてる若い女に次から次へと声を掛けていく。

「爆心地がいるよ！」って、俺の名前使いやがって...。

変な噂たったらどうしてくれんだよ！

「僕と付き合って下さい！」

公園の横を歩いていると、男の声が聞こえてきた。