求婚...年の差 (ページ2)

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２話目ページ2

「お兄ちゃん、勝己兄ちゃん！」

Aは、俺を見かける度に走り寄ってくる。

今は夜の7時半。玄関に座り、俺が帰ってくるのを待っていたらしい。

「何してんだ？さっさと家に入れ。」

(俺を待って...何が楽しいんだか...)

素っ気なくそれだけ言うと、玄関の門扉を開けて家に入ろうとした。

黙ったまま、俺を見ているクソガキ...。

「俺も家に入るから、お前も入れ。」

「うん！今日も会えて良かった！バイバイ！」

手を振って中に入っていったのを見届けると、俺も家に入った。

(毎日、毎日...クソだりぃ。こっちは疲れてんだから寄ってくんなっつーの。)

別にガキが嫌いな訳じゃないが、あそこまで好き、好きと言われるとめんどくせーだけで。

「おい、ババア。晩飯はなんだ？」

(そのうち好きな奴が出来て、離れてくだろ。)

この読みは外れ、その後もAのストーカーのような行為は続けられた。

「勝己兄ちゃん！」

「あっつ...苦しいわっ！抱きつくな、この...クソガキ！」

ベリっと音がしそうな位、強く抱きついていたAを引き剥がしながら叫んだ。

「あー、離れたくない〜！」

ジタバタと暴れ、また抱きついてくる。

「あの...な、俺はそんなに暇じゃねぇんだよ！高校生！しかも雄英！する事が目白押しで...」

うるっと目に涙を溜め、俺を見上げるA。

「夏休みだぞ。俺にばっかくっついてねぇで、ガキはガキらしく、他のガキと遊んで来いや？」

「勝己兄ちゃんと一緒に居る方が大事だもん。」

ポフッと俺の腹に顔を埋めながら言った。

「お前...な...。」

そっと頭の上に手を置き、撫でてやると顔を擦り付けてくる。

(猫みてぇ...だな。)

Aが納得して離れるまで、しばらく抱きつかせていると、Aのお母さんが駆け寄ってきて「すみません！」と無理矢理引き剥がした。

「こら、A！勝己くんはお勉強で忙しいんだよ！迷惑かけちゃ駄目でしょ！」

「将来の旦那様だから！良いもん！」

バタバタと走り、家の中に逃げ込んで行く。

「そのうちに諦めると思うから...本当にごめんなさいね。」

「じゃ、俺、行きますんで。」

頭を下げ、俺は駅に向かって歩き出した。

それから３年後、俺は無事に雄英を卒業。プロヒーローとして働き出し、Aと顔を合わせる機会が減っていった。