告白８ ページ38
「緑谷くん、お饅頭チョイスするとこが渋いね！」
パンパンの紙袋２つを下げて、嬉しそうに話す。
「僕の中ではお土産といえばお饅頭なんです！Aさんは沢山買ったね〜。」
「あはは、買い過ぎたかも。だって可愛い物が多かったから。」
「帰る時、持ってあげるからもっと買っても良いよ？」
「えっ、本当！？...なんて調子乗っちゃうよ！」
「乗っちゃえ！って、もうすぐご飯だね。先にお風呂入る？」
「お、お風呂...。」
あからさまに顔を赤くしたAさんを見て、僕は慌てて訂正する。
「へっ、へへへ変な意味じゃないからね！ご、ご飯食べた後に入るのも良いかなぁ？」
「そ、そだね。先にご飯のが良い...かな。」
部屋にお土産を置きに行き、そのまま大食堂に向かう事に。
出てきたご飯は豪華な懐石料理で、いつもはファーストフードやファミレスばかりだったから珍しい料理に2人で盛り上がった。
普段は少食のAさんも沢山食べ、「食べ過ぎた。」と笑っている。
「最後に出てきた和菓子が特別美味しかったぁ。」
「甘い物には目が無いもんね、Aさん。」
「うん、大好き！」
部屋に戻ると時間は19時過ぎ。
僕達はそれぞれお風呂に入りに行き、着慣れない浴衣に悪戦苦闘してしまった。
「あ、お帰り。」
「ただいま！って...その浴衣...。」
上手く着れていない浴衣を指差し、Aさんは吹き出し笑いをする。
「わ、笑わないでよ。これでも頑張ったんだから。」
「ごめん、ごめん！着させてあげるからこっちに来て。」
僕が立つと器用に帯を結び直し、襟元も綺麗に手直ししてくれた。
「ありがとう。浴衣、似合ってるね。」
髪は器用にお団子にされていて、うなじがとても...色っぽい。
「似合ってるかな？そんな事言われた事無いよ。」
両手で頬を包み込み、照れ臭そうに微笑む。
「可愛い...とっても可愛いよ！」
「そ、そんなに褒めても何も出ないからね。」
冷蔵庫から水を出し、「暑い。」と顔をパタパタと扇ぐ。
「A...さん。ちょっと...話したい事があるんだ。」
緊張で口から心臓が飛び出てきそうで...所在なくベッドに腰を下ろした。
「ん？何？お水...飲む？」
「うん、貰うよ。」
手渡されたペットボトルの水を一気飲みして、深呼吸を一つ。
...こんなに緊張するのは...Aさんに告白された頃以来だな。
「どうしたの？大丈夫？逆上せちゃった？」
ギシ...と隣に座ってきて、Aさんは心配そうな目を向けてきた。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2018年10月28日 0時
