９話目 ページ9
「もう、ボサボサんなった〜。」
手ぐしで簡単に髪を束ねながら文句を言うA。
「俺も爆豪もそうだぜ？Aが撫で回すから。」
「ま、明日の朝シャワー浴びりゃ済むから良いけどよ。」
爆豪が前髪をかきあげて、フッと鼻で笑った。
「...前髪上げてもかっこいいな？」
「かっこいい、かっこいいって、るせぇわ！てめぇの彼氏がかっこよくて良かったじゃねぇかよ！」
「そやね〜。両手に花の男バージョンは何やろ？」
ペンをクルクルと手の上で回しながら考え始める。
「あんまそんな事言われた事ねぇから...くすぐってぇよ、A。」
「ん？そうなん？中学ん時、モテたんちゃう？」
「ば...爆豪は知らねぇけど、俺はモテなかったぜ？残念ながら...。」
中坊ん時に地味だったのは秘密にしてある。実は高校デビューでした！なんて言えない。
「モテたかどうかはわかんねぇけどよ...彼女は居たな。」
「えぇっ！？そうなん？」
「うへぇ、マジかよ、爆豪〜！」
「...んな...驚く事...かよ？」
俺らの驚き様に、驚いた顔をして目を見張った。
「...ちょっと...ヤキモチ妬く...。」
「あ？Aも彼氏の１人や２人は居たんじゃねぇのか？」
「おらん。付き合うの...２人が初めて。」
「俺も今回が...初めてだぜ。」
「マジかよ！？」
今度は爆豪が驚いた声をあげ、俺とAの顔を交互に見てくる。
「...じゃ、勝己、その彼女と色々「してねぇわ！手を繋いでもねぇ！」」
「...ほんまに？」
Aが爆豪の顔を覗き込んで、少し悲しそうな顔をした。
「...くっそ、黙っときゃ良かった。Aだけだ、心配すんな。」
Aにそっとキスをして頭を撫でる。
「でもよ、Aって告られた事ねぇのかよ？モテただろ？」
俺が聞くと首をかしげて「たまに...？」と答えた。
「たまにって何だ、たまにってよ！んな頻繁に告られてたんかよ！？」
「だからたまにやって！先輩とか後輩とか合わせて！」
「何回くれぇ...あった？」
「10回は...無いと思う？」
俺の問いに天井を見上げ、考えるような素振りをして答える。
「「10回！？」」
「でも全部断ったもん！付き合う気無かったから！」
「...クソ髪、セコム始動すんぞ、おら！」
「お、おう！何ならアルソックでも良いぜ！」
「アホちゃう？何を言うてんの、２人共...。」
呆れた顔をするAを横目に...俺らは思い切り真剣な目をして頷きあった。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2017年7月14日 19時
