３７話目 ページ37
「無いんか...卵せんべいも...。」
「って、すげぇ美味そう...。」
瀬呂が興味深げな声を出した。
「美味しいねん！美味しい...あ、めっちゃ食べたい。...無いなら...作れば良いんよな！？」
Aはバッと立ち上がると「買い物に行く！」と拳を突き上げる。
「...その前に...そのタコせんべいっての売ってんのかよ？」
「え...無い...んかな？」
AのＴシャツの裾を引っ張って言った爆豪の顔を不安そうな顔で覗き込んだ。
「...こっちでタコせんべいっつったら...丸焼き思い出すんだよな。」
「鉄板にタコ挟んでジューっと焼くヤツな？」
「え、何それ？丸焼き？タコの！？」
俺と上鳴の顔を交互に見ながら、またその場に座り直した。
「分厚い鉄板で挟みながら焼いて、薄っぺらくせんべいみてぇにすんだよ。江ノ島とか...有名だぜ？」
「や、切島...それも美味しそうやけど...。」
テーブルに両肘を付き、両手で頬をムニッとしてため息をつく。
「他にはさ...そのタコせんべいにたこ焼き３つ位乗せて100円とかで売ってたりしてさ。半分に折って挟んで食べるんやけど。お小遣い乏しい子供の頃の思ひ出...。」
「あ！取り寄せれば...良いんじゃね！？」
「上鳴...めっちゃ高級なタコせんべいになってまうやん〜。」
「食いてぇんなら...仕方ねぇだろが？」
「ほな...爆豪が送料払ってや！？」
爆豪の腕をパンっと叩き、嬉しそうな顔をした。
「送料、皆で割れば安いじゃん？取り寄せようぜ！」
瀬呂がスマホを弄り、デカいせんべいを俺らに見せて提案してくる。
「あ！それそれ！でも...現物400円位で送料800円って...高っ！」
「まぁ一人頭200円ちょいだろ？注文しちまえ、瀬呂！」
「おう！任せとけ、切島！」
瀬呂はニカッと笑い、視線をスマホに移した。
「...何か私のワガママでごめん...。」
タハハと笑ってAが申し訳なさそうな顔をする。
「...おい、しょうゆ顔。ついでにさっきの...何だ、ミルクせんべいっつうのも探せや。」
「え？爆豪...それはそこら辺のスーパーに無いん？」
「ついでにっつっとんだ！んな位払ったるわ！」
テーブルに肩肘を付いて不機嫌そうな顔で、フイッと顔を背けた。
「何っか爆豪...最近Aに優しくね！？」
「あ？んな訳あるか！何っで俺がクソチビに優しくしなくちゃなんねんだよ？」
「爆豪さん、ゴチになりま〜す！」
Aがケラケラと笑いながら言い、それにつられて俺らもゲラゲラと笑い出した。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2017年7月14日 19時
