３０話目 ページ30
「食うのが痛ぇって...麻疹だろ？」
「麻疹やねんけど、熱のせいか口の中が爛れたみたいになってて...お粥でも死にそうやねん。」
瀬呂に口の中を見せながら説明をする。
「ゼリーとかなら食えっか？」
「ゼリーか。それなら...プリンかアイスが良いな、切島！」
「なら買ってきてやるよ！爆豪も行くか？」
「おう。」
２人で病室を出て、売店を探して歩く。
「...最近は売店じゃねぇんだな、爆豪。」
「コンビニかよ、すっげぇな。」
小さなコンビニが病院に入っていて、２人で驚いた声をあげる。
「とりあえず、落ち着いてそうで安心した。」
「...もっと悪ぃかと思ってたかんな。」
爆豪は何個かのプリンを見比べながら話した。
「...アイスって...A、何食ってたっけ？」
「...抹茶...じゃねぇのか？」
「抹茶...抹茶...お、あった！」
アイスクリームのショーケースから抹茶アイスを取ってかごに入れた。
レジに並んで会計を済ませ、Aの病室に戻ってくると、上鳴と瀬呂が外に追い出されているのが見える。
「あ！今入れねぇよ！」
「えーっと、清拭...体拭いてもらってんだよ。」
「なら、待つしかねぇな。」
俺も２人に並んで壁にもたれて立った。
「あ、お待たせしました。中へどうぞ。」
さっきとは違う看護師さんが病室から出てきて、にこやかに話しかけてくる。
俺ら４人はペコッと頭を下げ、病室の中へ入った。
「ごめんな、待たせて。」
眉を下げて申し訳なさそうな顔をして謝るA。
「仕方ねぇよ。あ、アイス...溶けてっかも？」
抹茶アイスとスプーンを手渡しながら言うと嬉しそうに笑って受け取った。
「いただきます。」
パクッと一口食べて「美味しい。」と笑顔を向けてくる。
「A、個室って...退屈じゃね？」
「あのな、上鳴。麻疹って、院内感染の危険性あるから隔離されてんねん。」
「そういう系の本とか差し入れてやろうか？」
「瀬呂...それはいらんから。」
Aはスプーンを咥えて瀬呂を叩く真似をする。
「おい、こら、クソチビ。いつ退院できんだよ？」
「あー、月曜かな？学校には火曜から行くけど、戦闘訓練とか演習は再来週からになりそう。爆豪、勉強教えてな？」
「おぉ、教え殺したるわ。」
Aの枕元に腰を下ろして爆豪はニヤッと笑った。
「あ、切島、ノートよろしく！」
「俺！？爆豪のが適任だろ、それ！」
手を振りながら爆豪を見ると「んな位しろや。」とデコピンを食らわされた...。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2017年7月14日 19時
