２６話目 ページ26
「うー、まだ走んのかよ？」
「あ？体力無さ過ぎんじゃねぇのか、アホ面！」
「後２週は走るべ〜！」
「待ってくれよ〜、Aも〜！」
土曜日の夕方、俺と爆豪、上鳴とAの４人で公園にランニングに来ている。
上鳴はもう走れねぇとベンチにヘタリ込み、俺ら３人に手を振ってきた。
「...私も休憩する。」
いつもはニコニコと楽しそうに走るAが、今日はあまり話さないし、笑わない。
「何か機嫌悪ぃな、A。」
「...アレ...でも来とんのか？」
「アレって...あぁ...。女って大変だな。」
２人でそんなことを話しながら走り続けた。
「お疲れぇ！」
上鳴とAが居るベンチに戻ると、上鳴がペットボトルの水を投げ渡してくる。
「サンキュー！」
「くっそあぢぃ。」
俺らは渡された水を喉に流し込んだ。
ベンチに座るAは、ぼーっと空を見上げて座っていた。
「A？元気なくね！？」
上鳴が声を掛けながら肩を叩いた瞬間...。
ＢＯＭ!
Aが手に持っていた水のペットボトルが、突然暴発して弾け飛んだ。
「うわっ！」
「ご...ごめっ！」
上鳴とAは...びしょ濡れになってしまった。
「おい、こら、クソチビ！今のてめぇの個性だろが！？何を暴走させとんだ！」
「内部...爆破だよな、今の...。」
「...ごめん！ちょっと考え事してて...上鳴に肩叩かれてびっくりした...から。上鳴、大丈夫？」
「お、おう！大丈夫！水も滴る良い男ってな！」
親指を突き出し、ニカッと笑う上鳴。
Aは苦笑いをして、肩をショボンと落とした。
夜、俺の部屋に３人で居ると、Aが俺の膝に跨って座ってくる。
「来週...誕生日やな、鋭児郎。」
「お、おう。...だな。」
「A...クソ髪の誕生日にっつってたの...マジなんか？」
「...うん、ほんま。」
「む...無理...すんなよ？俺は...嬉しいけどよ。」
ぎゅっと抱きついてくるAの頭に、顔をくっつけて話した。
「無理はしてないけどさ、その...やっぱ怖いかなぁ？だって...１人でも怖いのに、それが２人...やからな。」
「...だよ...な。」
「優しくしてやるから心配すんな。」
爆豪は俺の隣に座り、Aを抱きあげて自分の膝の上に乗せる。
「...こっちもよ、多少は怖ぇ...と思っとんだ。」
「俺も何か...怖ぇ。」
「そっか、一緒か。」
「一生大事にしてやるから、安心して抱かれとけや。」
「愛してるぜ、A。」
Aは頷くと、爆豪にぎゅっと抱きついた。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2017年7月14日 19時
