２３話目 ページ23
「A...なんつう顔してんだよ？」
「...え？何、上鳴？」
俺の部屋で皆で集まっているというのに、ベッドの上に座り、スマホを眺めては難しい顔をしているA。
「まさか！好きな奴でも出来たのかよ！？」
「や、そ、そんなんちゃうよ。」
「じゃあ、何だっつうんだ？スマホ見せろ！」
瀬呂が個性を使ってAの手からスマホを奪い取った。
「かっ、返してやっ！やめてって！」
「どれどれ...って、えっ！マジかっ！？」
「返してって！アホ！」
ドカッと瀬呂の背中を蹴り飛ばし、その手からスマホを取り返すと爆豪の隣に座り込んだ。
「お前...その男誰だよ？告られてんじゃねぇか？」
「あ？見せろ、クソチビ！」
爆豪がAの手からスマホを取り上げて弄り始める。
「A、告られてるって...マジか？」
「き、切島...顔が怖ぇよ？んなに怒るような事でもねぇじゃん？」
「...中学ん時の同級生で...最近しつこいねん。中学ん時に告られて断ってるんやけど。」
「A、可愛いもんな〜。諦めきれねぇんだろな、その男！」
瀬呂が腕を組んでウンウンと頷きながら話した。
「あ？んだ、こいつ...。」
ブブッとLINEのマナー音が連続で聞こえてくる。
「何て送ってきてんだよ？」
「『Aの事で頭がいっぱい。』『こっちに帰ってきたら絶対にデートしよな！』『いい加減付き合ってくれても良いんちゃう？』だとよ。」
LINEを読み上げながら爆豪の顔が段々と引き攣っていくのがわかった。
「ば、爆豪...どうしたんだよ？切島も怖ぇ顔してるしよ。」
「...ダチだから気になんだろ？困ってんならよ？」
「ま、まぁな。そりゃそうだけど...。」
上鳴が鼻をポリポリとかきながら返事をする。
「...ブロックすんぞ、クソチビ。」
「え、あ...うん。」
「何を残念そうな顔しとんだ！実は嬉しいんかよ！？」
「ち、違っ、ブロックしても...また別の電話でLINE来るんやって、そいつ！」
「ストーカーじゃねぇか、まるで...。」
「それは無いと思うんやけどな、瀬呂...。」
「A、おめぇ大丈夫、大丈夫っつってたら危ねぇ目に合うぞ？」
困った顔をしてアハハと笑うAにイラついてしまった。
「...気ぃ付ける。ごめん。」
「A、切島の言う通りだぜ？今は危ねぇヤツ多いじゃん！？地元から離れてっから良いけど。」
「...ブロックしたぞ、おら。」
スマホをAに手渡すと、爆豪はムスッとした顔でテーブルに肩肘をついた。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2017年7月14日 19時
