４５話目 ページ45
「うん。作るけど...どうせならくじ引きしよう？切島、油性ペンある？」
ペンケースの中から油性ペンを出して手渡すと、たこ焼きについていた爪楊枝に印を入れ始めた。
「これが10枚、これが８枚、これが５枚！で、私の手で隠すから順番に引いて！」
「じゃ、俺から〜！」
瀬呂がAの手の中から爪楊枝を一本引いた。
「あ、８枚〜！」
「うーん、中吉な感じ！？」
ヘヘッと笑って、微妙なガッツポーズをする。
「俺も引く！」
そう言って引いた上鳴は10枚の大当たり！
「おぉ！何か当たったら嬉しい！！」
「３本中の１本に当たったくれぇで...るせぇ。」
あっさり爆豪も10枚を引き当て、フッと鼻で笑った。
「はい、最後は切島！」
「昔からこういうくじは苦手なんだよな。」
引いてみると案の定５枚で、子供の頃からのくじ運のなさを嘆く。
「アハハ、私もあんまり当たった記憶ないわ。誰か持って！」
瀬呂に爪楊枝を持たせてAも引くと５枚...。
「うー、やっぱりか...当たらんなぁ。」
「ドンマイ！」
「あざす、瀬呂さん！」
苦笑いをしながらミルクせんべいを作り出した。
「はい、８枚どうぞ！」
瀬呂は受け取ると神妙な顔つきで口に運び、１口齧って「...美味いかも？」とどんどん食べ進んでいく。
「上鳴、爆豪、10枚〜！」
少しずつずらしながら作られるミルクせんべいの10枚は...かなり大きいサイズになっている。
「うぇ〜い！」
「...でけぇな。」
上鳴は受け取ってすぐに食べ始め、「あ、甘いけどいける！」と親指を立てた。
「爆豪、早く食べんとふやけるで？」
「お...う。」
ふぅとため息をつき、パリ...とせんべいに齧り付くと眉間に深いシワを寄せ、嫌そうな顔をする。
「くっそ甘ぇ！！」
叫びながら口元を抑えて、ペットボトルの水に手を伸ばした。
「あー、爆豪には辛いな、10枚...。はい、切島。」
「お、サンキュー！」
ミルクせんべいを受け取って食べてみると、予想通りの味というか...練乳がすごい主張してくる。
「子供受けしそうな味だな？」
「うん、大人気。うまく食べれなくて浴衣汚してよく怒られたぁ。」
Aは手早く自分の分を作って、美味そうに食べ始めた。
「おい、クソチビ。俺のも食えや。」
「あ、うん。わかった。」
爆豪の手からミルクせんべいを受け取って、あっさりと10枚食べてしまう。
「これはそんなに食えねぇな〜。って、腹に溜まる。」
上鳴は腹をさすって、少し苦しそうな顔をした。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2017年7月14日 19時
