３２話目 ページ32
「...本当に...入んのか...？」
「さすがに...緊張すんな...。」
ホテルから少し離れた所で...３人で立ち尽くしている。
「...りょ...寮やと...バレたら困るし。って...私が覚悟決めたんやから...行こう？」
俺と爆豪の手を握り、上目遣いで首をかしげながら話す。
「...くっそ、行くぞ、こら！」
「マジか！？爆豪！」
俺とAの腕を掴み、ホテルの方へ歩いて行く。
自動ドアをくぐり、適当に部屋を選んでエレベーターを待っていると...従業員の人に「すみません。」と呼び止められて飛び上がって驚いてしまう。
「な、何すか？」
「男性2人のご利用は当施設ではお断りさせていただいておりまして...。」
「あ、私も居ます...。」
俺らの陰に隠れていて、Aの存在に気付かなかったらしい...。
「大変失礼いたしました。ごゆっくりお寛ぎ下さい。」
慌ててペコッと頭を下げ、フロントの中に入って行った従業員さん。
「めっちゃ怖かったぁぁ！」
エレベーターに乗り込んでから胸を摩って泣きそうな顔をする。
「俺も...ビビっちまった。」
爆豪は俺らを見て、苦笑いを浮かべた。
エレベーターを降りて、隠れるようにそそくさと部屋に入ると...そこは異空間で...。
「う...わ...何か...すごいな。」
Aはパタパタと部屋の中にあがると、あちこちを見て歩き回る。
俺と爆豪は一気に緊張が高まってきて、とりあえずソファに腰を下ろした。
「何っか、お風呂すっごい広い！」
浴室の方向を指差しながら、Aが報告をしに来る。
「...３人で入りてぇのかよ？」
「えっ！？だ...誰もそんなん言うてないやん...。」
今日のAの服装は...珍しく白の可愛らしいワンピースを着ていて、そのスカートをぎゅっと握って顔を赤く染めた。
「と、とりあえず座れよ。な？A。」
「う...うん。」
俺と爆豪の間にちょこんと座ると、その顔からは笑顔が消え、緊張した面持ちになる。
「...後悔しねぇのかよ？」
「え、何で...勝己？」
「怖ぇんだろが？顔...引き攣っとんぞ？」
爆豪がAの頭を撫でて笑いかけた。
「だからよ、無理はしなくて良いんだぜ？まだ早ぇっつうんなら待つしよ？Aが入院してる時に...傍に居てくれるだけで充分だって、爆豪と話してたからな。」
「...大丈夫やで、鋭児郎...。えっと...その...結ばれたい...し。」
爆豪はすくっと立ち上がると、「風呂！」と言いながら浴室に消えて行った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 225人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：梅シロップ | 作成日時：2017年7月14日 19時
