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夜の静けさに水の音だけが響いている｡
辺りに人は居らず､車も一切通らない｡
見つめる先はどこまでも遠く広がる海｡
海の向こうをしばらく見つめ､ゆっくりと足を前に一歩ずつ踏み出した｡
水際ギリギリで立ち止まり､息を吐いた｡
そしてまた一歩踏み出すと､腕をグッと引かれて俺は振り向いた｡
『...ほく､と｡』
そこには真剣な表情と眼差しをこちらに向けている北とが居た｡
『...何やってんの｡』
『...｡』
『...なぁ､何やってんだよ｡』
『...｡』
『...何やってんだって聞いてんだよ!』
そう叫んだ北斗の声は少し震えていた｡
『...死ぬつもりなのか??』
『...｡』
『...俺たちを置いていくのか??』
『...十分でしょ｡』
『...十分??』
『...もう十分に幸せを感じた｡だから､』
そう言っている途中で手を引き寄せられて､あっという間に北斗に抱きしめられた｡
『...ふざけんなよ｡』
『...｡』
『...違うだろ｡』
『...北斗｡』
『...俺がもっと幸せにするから｡』
『...っ..｡』
『...今よりもっと幸せにする｡だから､俺の側に居ろよ｡』
そう言われた瞬間､一気に目頭が熱くなり気が付けば頬に涙が伝っていた｡
『...やめて｡』
それでも俺はすがりたくなくて､抵抗しようと北斗の体を押し退けようとしたが逆にぎゅっと更に抱きしめられた｡
『...本当に､ダメだから｡』
『何がダメなの??』
『...だって俺､死ぬんだよ??』
『永遠に生きられる人なんて存在しないから｡』
『...誰かの手を借りなきゃ生きられないし｡』
『生まれてから死ぬまで｡誰の手も借りずにいる人は居ないから』
『...幸せな未来を共に描いていけない｡』
『未来より明日より今日を幸せに過ごせばいいじゃん｡』
『...一緒に居ても幸せになれない｡』
『俺の幸せは俺が感じて決める｡それに俺が京本を幸せにしちゃいけないの??』
『...俺､男だよ??』
『恋愛は男と女がするものなの??惹かれ合うのに､性別は関係ない｡』
『...北斗は優しいから｡』
『優しさだけで好きになって側に居ると思うな｡』
『...全部に答えがあるなんて､ズルいから｡』
『愛してるんだから､仕方ない｡』
そう言われて俺はそっと北斗の背中に手を回した｡
『...北斗｡』
『なに??』
優しい声色でそう言われてまた頬に涙が伝い､俺はぎゅっと北斗に抱きついた｡
『...死にたくない｡』
そう言うと北斗は力強く抱きしめてくれて､俺は全てを預けるようにすがった｡
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あい(プロフ) - コメント失礼します。泣けました。これからも頑張ってください！！ (2019年1月13日 6時) (
レス) id: 20d8e8453e (このIDを非表示/違反報告)
アリス - 素晴らしい作品をありがとうございます。更新楽しみにしてます。 (2019年1月1日 2時) (レス) id: fd962043f2 (このIDを非表示/違反報告)
とまと - とても面白くて読み応えあります！更新が楽しみです！ (2018年11月29日 21時) (レス) id: 58ad9659bb (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - とても素敵な作品で更新楽しみにしてます！応援しています！ (2018年11月21日 23時) (レス) id: 46ec5817d4 (このIDを非表示/違反報告)
藤菜 - 大我大好き！この小説とても面白いですね！頑張ってください！応援してます！ (2018年11月17日 4時) (レス) id: cd27931c78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：seri | 作成日時：2018年11月14日 10時
