オワリにしよう。2（Daiki.A）

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宏太「あれ、木村もう外まわり？早くない？」

光「ほんとだー。まぁ、あの社長口説くにはガッツいるよなー」





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「また君か。しつこいなぁ本当に」


「まぁまぁ。で、今日は一体どんな話をしてくれるんだい？」


A「はい、今日はですね……」





例の大手居酒屋チェーンについて頭を悩ませていた私は、とりあえずがむしゃらに、初心を思い出して勝負に臨むことにした。




まずは、信頼関係をしっかりと構築すること。
運動音痴で体力もさほど無い私だけど、とにかく先方に足を運んだ。

先方の担当者は若干呆れていたけれど、対して頑固な社長の方が次第に真面目に耳を傾けてくれるようになった。



「最初の段階でガッツリ追っ払うから、それで怖気づく奴が多いんだよ。ガハハ」
なんていうちょっとした裏話まで教えてくれるようになった。



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だがしかし。

私の目的は先方と仲良くなることではない。これはあくまで契約にこぎつけるためのステップ。


そう、契約してもらえなきゃ意味が無い。





だから私は、相手の利益に繋がるような取り組みも考えた。


つまりは、たくさんの情報を相手に提示するようにした。




居酒屋一般における売れ筋、人気メニュー、客層に合わせたメニュー構成、実際にそれらの取り組みが飲食業界で売上向上につながっているというデータ。


すでに知っている情報も多かっただろうけど、先方は毎回興味深そうに話を聞いてくれた。




自社製品の売り込みなんてそっちのけ。






入社式の時、新入社員に向けてうちの社長が話していた。


営業は、相手との信頼関係構築、さらには売上貢献、それらがあって初めて魅力的だと認めてもらえる、と。



あの時、話が長すぎてほとんどの同期が白目向いたり船漕いだりしてたけど、なぜかバカ真面目に聞いていた。





あの有難いお言葉が、まさかこんなところでいきるとは。


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