なやみ ページ23
帰りの電車で揺られながら、ずっとミンソクさんとあの人のことを考えていた。
当たり前のように家まで送ってくれているベクが隣にいながら、私はやっぱりミンソクさんのことばかり。
窓をつたう雨の雫をぼんやりと眺めながら黙り込んでどのくらいたっただろうか。
ベクに声を掛けられた時にはもう最寄り駅だった。
｢ごめんね、楽しかったのにこんな…｣
｢いいんですよ、もし体調治らなかったら明日無理して仕事来ちゃダメですからね｣
いつもよりずっとゆっくりと歩きながら話すこの時間は、なんだか凄くもどかしく感じた。
さっき喉元を通り過ぎて口先まででかかったあの言葉は、気を抜いたら飛び出てきそうなほど。
いったい私は何をどうしたいのか、全然自分でも分からない。
雨が傘を打つ音が次第に大きくなり、いつの間にか土砂降りになった。
普通に歩いていても足元が濡れてしまうくらいだ。
｢うわ、雨やば…少し急ぎましょうか｣
濡れてもいいからもう少し一緒にいたいと思うこの気持ちはなんだろう。
もうおかしいよ、ミンソクさんが好きなのにベクにまでこんな気持ちになるなんて。
本当に、最悪だな私って。
家の前に着いて傘を閉じベクを見てみると肩が少し濡れていた。
まだ時間も早いし部屋に上がっていけば良い、という言葉は流石に言わなかった。
あまりにも無神経だろうそれは。
｢本当にごめんね…また今度改めてご飯でも行こうね｣
｢もーほんとすぐ謝る！良いからゆっくり休んでくださいよ？ご飯行くのは絶対ですからね｣
そう言って笑いながら手を振るベクに小さく手を振り返してエレベーターのボタンを押した。
機械が動く音を聞きながらドアが開くのを待っていると名前を呼ばれたので振り返ると優しく微笑んでじっとこちらを見ているベクと目が合った。
｢俺、昔よりずっと頼りになる男になりましたよ｣
｢え…？｣
｢誰よりも先輩の傍にいたいんです｣
そう言ったのと同時にエレベーターのドアが開いた。
でも、足がくっついてしまったみたいに動かない。
ベクから目が離せない。
近付いてきたベクはそっと私の背中を押して、エレベーターに乗るように促すと一歩下がって再び私と向き合った。
妙に鼓動が速い。
むねが、くるしい。
｢おやすみなさい｣
再び私へ手を振るベクに、今度は振り返すことができなかった。
2人の間に壁が出来て姿が見えなくなってからも動くことが出来なかった。
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K(プロフ) - ソルさん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます(;_;)ミンソクさん派も多いのですね！どちらとのハッピーエンドなのか、楽しんで読んでもらえると幸いです(^_^) (2018年5月24日 20時) (
レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - ゆなさん» ベクペンさんなのですね！私なら選べないです、どちらとも幸せになりたいです...笑 (2018年5月24日 20時) (レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - きらさん» こんばんは！わー、ミンソクさん派！ベク派が多いと思ってたのでなんだか嬉しいです(>_<)どちらとも幸せになれれば良いのに...と作者なのに悶々としてます笑 (2018年5月24日 20時) (レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
ソル(プロフ) - いつも楽しく拝見してます！ミンソクさんとハッピーになってもらいたいなって思いますっ！ (2018年5月20日 23時) (レス) id: 0f050d23ca (このIDを非表示/違反報告)
ゆな(プロフ) - ベクペンだけど、選べません（笑） (2018年5月20日 4時) (レス) id: 2f6c46c71c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K
| 作成日時：2018年3月15日 18時
