初めての気持ち ページ47
*
｢先輩先輩、今のところもっかい一緒にやりましょ！｣
ベクがキーボードを弾く私の元へ駆け寄ってきて笑顔でそう言った。
無邪気で裏表の無いその顔に私はいつも安心しきってしまう。
｢うん、いいよ｣
そう返すと嬉しそうに笑った。
本当に人懐っこくて可愛い。
｢やっぱ先輩リズム感いいですよね〜｣
｢そうかな…？｣
｢そうっすよ！あ、先輩今日は一緒に帰れますか？｣
頷くとやっぱりまたとびきりの笑顔を見せてくれる。
このために部活を続けているといっても良いくらい、その顔を見るのが大好き。
中学の頃は部活に入っていなかったから後輩と仲良くなるということも無かったし引っ込み思案な私は本当に仲の良い子としか会話もしなかった。
けれどそんな私を見兼ねた友達が昔少しピアノをやっていたんだからということで軽音部を進めてくれて勇気を出して入部した。
1年の頃は同学年にもう1人女の子がいたけれど2年になるのと同時に辞めてしまい、自分もやめてしまおうかと思った時に入ってきたのがベクやチャニョルたち。
皆人懐っこくて、特にこの2人はこんな私にもたくさん話し掛けてくれて、この場所に留まる決断をしたんだ。
私が3年になったら1年生は入ってこなくて部員は5人のギリギリの状態だったけど楽しくて、毎日部室に通った。
受験生の私は勉強もしなきゃいけないから部室の隅で勉強していることもあるけど、皆それを歓迎してくれるし皆の声を聞いている方が勉強も捗る気さえした。
帰り道が途中まで同じ私とベクとチャニョルは良く一緒に帰って、たまに寄り道もした。
今日はチャニョルが用事があって先に帰ったのでベクと2人。
この道を並んで歩くのはあと何回だろう。
そう思うとなんだ妙に寂しくなった。
｢先輩、卒業まであと4ヶ月しかないですよ｣
｢4ヶ月か…きっとあという間だよね｣
｢ですよねぇ…｣
ちらりと横目でベクを見てみると少し上を見ている。
ベクも寂しいって思ってくれているだろうか。
冗談で寂しいんでしょなんて言えるようなキャラでも無いのでそのまま目を逸らして進んだ。
いつもは会話が絶えないのに、今日はなんだか少しぎこちない。
ベクがいつもより口数が少ないからだ。
こういう時に私から話題を振れれば良いのに、私の発言で相手の気分を害したら…と思うと上手く話せない。
本当にこの性格を直したいとずっと思っていた。
いつか後悔する日が来る気がするから。
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K(プロフ) - さえさん» そう言っていただけるととても嬉しいです(;_;)コメントもたくさんくださって本当に力になっています！ありがとうございます！！ (2018年3月15日 18時) (
レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - グロリオサさん» 他の作品も読んで下さっているんですね、ありがとうございます…！ありがたいうえに私には勿体無い言葉ですがとても嬉しいです！これからもよろしくお願いします(^^) (2018年3月15日 18時) (レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
さえ(プロフ) - 暗いとか思ったことないです！切なさもあり心温まるストーリーを書かれるkさんの言葉の紡ぎ方がとても大好きです！更新楽しみにしてます(^ ^) (2018年3月14日 0時) (レス) id: 74d5d29218 (このIDを非表示/違反報告)
グロリオサ(プロフ) - Kさんが書くお話はどれも切なくてハラハラしながら時間を忘れて読んでしまいます。いつも素敵なお話をありがとうございます。 (2018年3月13日 17時) (レス) id: e0624b2322 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - ケイカさん» コメントありがとうございます！私にはもったいないお言葉…(;_;)もう少しお話は続きますのでこれからもよろしくお願いします！ (2018年3月13日 7時) (レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K
| 作成日時：2018年1月31日 22時
