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グラスが無くなって手持ち無沙汰になったベクの指は、無意味にテーブルをとんとんっと叩く。
それを暫く見つめているとふと視線がこちらに向いたので私もベクを見た。
｢先輩、俺が言おうとしたこと…気付いてますよね？｣
鼓動が速くなり、視線を逸らした。
そうしないともう逃げられなくなる。
この期に及んで逃げようなんて浅ましいかもしれないけれど、私はこの問題からはどうしても逃げたかったんだ。
｢あの時俺が言おうとしてたこと、分かりますよね？｣
｢何のこと？えっと…私、お手洗い行っても良い？｣
立ち上がろうとするとミンソクさんと目が合い、その目が逃げるなと言っているように見えて動けなくなる。
ベクがこれから何を言おうとしているか分かっているような顔をしていた。
｢好きだったんですよ先輩のことが｣
ぐっと息がつまって苦しくなる。
あの頃は私に好意があることに気付いていながらも、それには気づかないフリをずっと続けていたのに。
ベクもそれに気付いていたんでしょ？
だから何も言わなかったんでしょ？
部の雰囲気を保つために、あの日まで閉じ込めてたんでしょ？
それなのに、私はその日を最悪な形で壊したんだ。
言おうとしていた言葉を私は無理矢理遮って出て行ったんだ。
｢あの時、先に好きだって伝えてたら絶対にあんなことにはならなかった｣
｢そんなこと…｣
｢好きだって言われた後にあれを聞いても、同じことしました？｣
言葉に詰まってしまった。
ベクが私を好きだと言って、それが本当の気持ちだってしっかりと伝わっていたらあの言葉を聞いてあそこまで動揺することはきっと、無かった。
でも、だからといってそれがベクのせいになるわけは無い。
どう足掻いても悪いのは私。
｢チャニョリに先輩と再会した事を言わなかった理由、教えてあげますよ｣
頬杖をついて目を少し細めて笑う顔から目が離せない。
どくんどくんと大きく鼓動が跳ねる。
｢先輩を独り占めしたかったからだ｣
何も考えられない。
ただ時間だけが過ぎていく。
周りの音も聞こえない。
｢あの頃よりももっと綺麗になった先輩を誰にも見せたくなかった｣
そう言うと脱力したようにテーブルに額を乗せたベクの頭を見ることしか出来ず、何をどう言うべきか必死に思考を巡らせた。
そんな私に追い打ちをかけるように紡がれた言葉。
見えない表情。
それでもハッキリと聞こえてきた言葉。
、
｢今も先輩の事が、好きなんです｣
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K(プロフ) - さえさん» そう言っていただけるととても嬉しいです(;_;)コメントもたくさんくださって本当に力になっています！ありがとうございます！！ (2018年3月15日 18時) (
レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - グロリオサさん» 他の作品も読んで下さっているんですね、ありがとうございます…！ありがたいうえに私には勿体無い言葉ですがとても嬉しいです！これからもよろしくお願いします(^^) (2018年3月15日 18時) (レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
さえ(プロフ) - 暗いとか思ったことないです！切なさもあり心温まるストーリーを書かれるkさんの言葉の紡ぎ方がとても大好きです！更新楽しみにしてます(^ ^) (2018年3月14日 0時) (レス) id: 74d5d29218 (このIDを非表示/違反報告)
グロリオサ(プロフ) - Kさんが書くお話はどれも切なくてハラハラしながら時間を忘れて読んでしまいます。いつも素敵なお話をありがとうございます。 (2018年3月13日 17時) (レス) id: e0624b2322 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - ケイカさん» コメントありがとうございます！私にはもったいないお言葉…(;_;)もう少しお話は続きますのでこれからもよろしくお願いします！ (2018年3月13日 7時) (レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K
| 作成日時：2018年1月31日 22時
