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「私だ」 ページ14

中学二年生の、とある夏の日



兄がギターを片手に窓辺で転寝していたのを覚えてる。




好きで好きで、会えなかったのが寂しくて

やっと会えたお兄ちゃんは今目の前でぐっすり眠っている




窓しか開いていなかった私の家は蒸し暑くて、お兄ちゃんは汗をかきながら眠っていて


首から鎖骨にかけて汗がたれ流れた瞬間




―……魔が差したの





だから全部暑さのせいにしてやりたかった


全部、全部、全部




(私がお兄ちゃんを好きなのも、全部……っ)








あの夏に置いてきぼりにしたかった

あの夏のせいにしたかった




窓から入る生暖かい風が白いカーテンと、お兄ちゃんの髪を揺らす

お兄ちゃんに近づいた私の髪もわずかに揺れる







歌がクライマックスを迎える

最後の大サビ






歌い切ったと同時に私の頭の中にはお兄ちゃんとキスをした映像が残る





「……ハハッ」






あの日 好きになったのも私






「帰ろうかな」





あの日 この想いを育んだのも私





「っ、あれ?……我妻先輩…?」



「……ごめんね、盗み聞ぎするつもりはなかったんだけど…さ」




あの日





「誰かに宛てたラブソング…?」

「っ……」





この恋を





「だとしても、ちょっと苦しい音出し過ぎじゃない?」



「……」





「……歌い終わっても、その苦しい音は止まらないね」






この想いを






「……失礼します」





ダメだ



早く走り去らないと





(どっどうしよう……!)






聞かれてしまった




あの歌を





あの曲を









「待って!」


「こっこないでください…っ」






あの曲を作った時の心境が沢山詰まった歌を聞かれて




「俺耳が良いからさ!!わかっちゃうんだよ!!だからさぁ!一度話を……」





耳がいいって何よ!!!よくわかんないけどだったら尚更止まれないよ








「……ぁ」






追いかけられる中、お兄ちゃんの声が聞こえて走っていた足を思わず止めてしまった


誰かと……電話してるのかな





まぁ、どのみち今のこの状態じゃお兄ちゃんには会えないけどさ




そう思って美術室から離れようとしたとき






『今日も美味い弁当ありがとなぁ、雛鶴、マキ、須磨』



あの時の、見たことのない笑顔をしながら愛おしそうに3人の女性の名前を呼ぶお兄ちゃん




……やっぱり







(…やば、泣きそう)






あの日 この想いを





「……Aちゃん?」









拗らせたのも私だ_______

「彼女との出会い」−善逸side−→←「曲」


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設定タグ:鬼滅の刃 , 我妻善逸 , 倉狩莉緒菜   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:倉狩莉緒菜 | 作成日時:2020年4月26日 16時

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