XXVIII ページ28
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「……ねぇ、クロコダイルさん」
「ン」
「私、貴方の愛が欲しいの。貴方の隣に死ぬまで立ち続ける権利も」
「──何言ってる。とっくの昔に指輪はくれてやっただろう」
「え」
まさか捨てちまったんじゃねぇだろうな、と睨まれたので慌てて否定し、傍にあるテーブルの引き出しから小さな箱を取り出した。
「そんなつもりで残してくれてたの……?」
「さァな。……新しいのが良けりゃ買ってやる。だが二度も手放すつもりはねェ」
無骨な手が頬を撫でる。鋭い琥珀は獲物を追う獣のような静寂を持って、私の全てを見透かすように光っている。
「俺の横に立つなら胸を張ってろ。命だけじゃなく心も寄越せ。本当に俺に全てを捧げる覚悟があると豪語できるなら──望み通り、地獄まで連れて行ってやる」
──なんて。
──なんて、物騒なプロポーズなのだろう。
所有物だと言っておきながら、彼は今まで私の心を掌握しようとはしなかった。だから半端な関係だって続けてくれていた。──それなのに、今彼は、文字通り全てを捧げろと言ったのだ。余すことなく、私の全部を欲したのだ。
“死が二人を分つまで”なんて生温い。地獄の果てまで手を離さないでいてほしい。そんな執着じみた願望までをも、許してくれた。
「ねえ、クロコダイルさん。お願いが三つあるんだけど」
「何だ」
「式を挙げたい。ドレスが着たいの。タキシード姿の貴方も見たいわ。あと、子供は当分欲しくない。いつかは産んでもいいけれど、覚悟ができるまでは嫌」
「もう一つは?」
小言の一つも呈さない彼に笑みを零す。頬に宛てがわれたままの掌へ触れて、負けじと琥珀を見つめ返す。
「もう一度抱いて。沢山愛して」
「──後で泣いても知らねェぞ」
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おはよ - めっちゃ面白い作品でした！最高です (2023年3月20日 22時) (
レス) @page44 id: d4f6705fb9 (このIDを非表示/違反報告)
白鯨(プロフ) - みうしさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます! 私としましてもまだ書きたいものが幾つかありますので、またぼちぼち気まぐれに更新しようかと思います。何卒気長にお待ちください。 (2022年11月13日 23時) (レス) @page32 id: 7a595430fd (このIDを非表示/違反報告)
みうし(プロフ) - 大好きな作品が終わってしまって寂しい〜〜泣泣と思っていたら番外編も書いてくださるんですか😭😭是非読みたいです……！！ (2022年11月12日 8時) (レス) id: f1ae5cae79 (このIDを非表示/違反報告)
愛ってなんや？ - 面白いです！！続き待機してます！！ (2022年10月23日 14時) (レス) @page19 id: 027cc676f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白鯨 | 作成日時：2022年5月25日 10時
