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アラバスタ王国・レインベースにあるカジノ、レインディナーズ。
その地下にある一室が私の家だ。──正確には、ただの居候なのだけれど。
広い室内には私の好むものが一通り揃えられている。
キャンバスと絵の具、ピアノにギター、調理器具がたっぷり揃ったキッチンまで──それらは全て、彼が用意してくれたものだ。一週間の半分以上をこの部屋で過ごしている私が暇にならないように。
退屈は、人を殺すから。
部屋の一角、カーテンで仕切られている中に置かれたキングサイズのベッドへと勢い良くダイブする。お高いベッドのスプリングは、しっかりとした弾力で私の体を受け止めてくれた。
首を横へ向けると、壁一面の水槽が目に入る。水中を悠々と泳ぐバナナワニの姿が見えて、その平和な光景に思わずくすりと笑みを零した。
コポコポと水の鳴る音がする。
海の中にいるような静けさと冷ややかな温度の中で、微かに香る葉巻の匂いに包まれてゆっくりと呼吸を繰り返していれば、遠ざかっていた眠気が再び顔を覗かせる。
コポコポ。
コポコポ。コポコポ。
──不意に、砂の落ちる音を聴いた。
「……今日は、早いお戻りね」
「……」
返答は無い。代わりにコートを投げ落とす腕の影が見えた。下がろうとする瞼を必死に留めながら、彼の名前を呼ぶ。──クロコダイル。
「そういうお前は、もう眠るのか」
250cm以上ある男の体重を受けて、ベッドが悲鳴をあげるようにギシリと鳴った。シーツに散らばる私の髪を、指輪の通った太い指が梳いてゆく。
「昨日は、寝るのが遅かったから」
「また絵を描いていたのか」
「ピアノよ。あなたが好きだと言ってくれた曲を、練習したくて……それで、」
言葉の続きは、吐息と一緒に呑み込まれた。
煙の苦味が鼻を通って眉を寄せる。酸欠で苦しくて彼のシャツの裾を握ったが、すぐに鉤爪で押さえ付けられてしまう。貪るようなキスに固く閉じた目が眩む。
「
「……何だ」
「今日は、うんと優しくして」
囁くような声にくつりと笑いを零した彼は、そのまま私のシャツのボタンへ指を掛けた。
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おはよ - めっちゃ面白い作品でした！最高です (2023年3月20日 22時) (
レス) @page44 id: d4f6705fb9 (このIDを非表示/違反報告)
白鯨(プロフ) - みうしさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます! 私としましてもまだ書きたいものが幾つかありますので、またぼちぼち気まぐれに更新しようかと思います。何卒気長にお待ちください。 (2022年11月13日 23時) (レス) @page32 id: 7a595430fd (このIDを非表示/違反報告)
みうし(プロフ) - 大好きな作品が終わってしまって寂しい〜〜泣泣と思っていたら番外編も書いてくださるんですか😭😭是非読みたいです……！！ (2022年11月12日 8時) (レス) id: f1ae5cae79 (このIDを非表示/違反報告)
愛ってなんや？ - 面白いです！！続き待機してます！！ (2022年10月23日 14時) (レス) @page19 id: 027cc676f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白鯨 | 作成日時：2022年5月25日 10時
