Episode of OTORI *1* ページ1
私がまだ幼稚園に通っていた頃。
私の父はもう既に他界していて、母が新しい父とその子供を私の元へ連れてきた。
父「やぁ、Aちゃん。宜しくね」
その父の足にしがみつき、恥ずかしそうに隠れる男の子。
父「何だ、長太郎。Aちゃんよく知ってるだろう?」
同じ幼稚園に通い、同じ組にいる【ちょた】。
気が弱くて、大人しい性格の男の子の良さを当時の私はまだ分かっていなくて。
A「私、弱い男の子嫌い!」
ちょたと家族となったその日、私は彼にそんな事を言ってしまった。
当然、ちょたが私に心を開く事はなかったし、私も口を開けばメソメソする彼に怒ってばかりで、正直良い関係とは言えず...
父と母も、どうしたものかと困ったそうだ。
・
・
私がちょたの良いところをようやく見つけたのは、それから3ヶ月も経った後の事。
パリーン!!
母がいない時に家中に派手な音が響き渡り、父とちょたが私のいるリビングの扉を開けた。
父「A、どうした?」
母が大切にしていた花瓶を過って割ってしまった私は怒られると思い、その場で泣き出した。
父「よしよし」
父が私を抱き上げ、背中を擦る。
A「ふぇっ...ママに怒られるぅっ...」
父「大丈夫、大丈夫...後で一緒にごめんなさいしようね」
父は私を宥めようと、私の好きな玩具が入ってる箱へと足を運び、ちょたに背を向けた。
・
玩具を手にして、少し心が落ち着いてきた頃。
長太郎「うわぁぁぁぁん!!」
背後からちょたの凄まじい泣き声がして振り返れば
彼のそばに花瓶の大きな破片が集まっていてその上に、ちょたの指からの血が垂れていた。
父「!長太郎っ!!」
・
その後、ちょたは病院で手当てを受けた。
その帰りに、父の車の中で私はちょたに言った。
A「あれはパズルじゃないんだよ!危ないって分からなかった!?」
ついつい、ちょたに強い言い方になってしまう私は、この時も怒ったように言ってしまう。
そしたら、ちょたは
長太郎「だって...
悲しそうだったから。あの花瓶がバラバラになっちゃって...直さなきゃって思ったから...」
そう言った。
22人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らんなあ - とても面白かったです (2020年4月20日 16時) (レス) id: aab03e3535 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:†ハヅキ† | 作成日時:2019年4月14日 14時