【歌い手】眠いから、僕は世界に馴染めない【男主】

おはようございます ページ4

京との電話を切って、階段を降りる。

トントンと軽快な音を立てて一段一段丁寧に。
まだ眠いから、寝ぼけて転げ落ちないようにね。

そういや前転げ落ちたな。
あー思い出したら寒気して来た。
怖い怖い。


「おはようございます…かなさん」

「はよ、A」

「あれ、今日は早起きですね」

「3日眠りこけてたやつが何を言うか」

「すみません」

「いいけど」

「いいんだ」

「いいよ。はい、コーヒー」

「僕のぶんも作ってくれたんですか？起きてくるかわかんないのに」

「でも起きてくるかもしれないだろ？」

「かなさん優しい」

「そーだよーかなさん優しいんだよー」


この眠そうな男の人は、彼方さん。
僕はよく知らないんだけど、歌い手っていう仕事をしてるんだって。
結構人気らしい。
そして僕の同居人。
僕のっていうか、僕が、かな。
彼方さんの住む家に僕が同居させてもらってる。


「今日はまふ来るから」

「あぁ、隠れとけと」

「うん。いや隠れなくても部屋に居てて」

「買い物行きましょうか」

「急にぶっ倒れる可能性があるのでダメです」

「さっき起きたばかりですよ」

「尚更。いいからかなさんの言うこと聞いて部屋に居なさい」

「うぃ」


強引だなぁ。

別に買い物くらい一人でいけるし…

もう、過保護なんだから。

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