【歌い手】眠いけど、僕は世界と馴染みたい【男主】

きおくのなかの ページ15

なんか今日はどっと疲れた。


京も真尋も、心配してくれるのは嬉しいけど、僕だって子供じゃないんだから。


『まだあなたは子供なんだから』


頭で響く声。

まるで靄がかかったように朧げな顔。

反響していつまでも鳴り続ける警報。

まるで、これ以上思い出すのは禁止だとでもいうように。


『一人で抱え込むのはやめなさい。頼るのよ』


『あなたには、頼る人が何人もいるの』


『頼ってあげて。じゃないと、拗ねちゃうわよ？』


顔もわからないけど、微笑んだ気がした。

どこか可笑しそうに、寂しそうに。



その人のことを最後に見たのはいつだったんだろう。


『じゃあ、元気でね、Aくん』


『辛くなったら帰っておいで』


小指を絡めて、笑いあった記憶。

すっぽり抜けたように、その後のことが思い出せない。



覚えてるのは、その人とかなさんが話してたところ。

かなさんは、すごく真面目な顔で、

その人の口元は微笑んでて、









これ以上考えるのは、やめようかな。


今日は何だか、かなさんと一緒に寝たい気分だ。

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