意外にも ページ44
男「……オイオイ、」
お前自分が何言ってるかわかってんのか?と、嫌な笑みをそのままに聞いてくる。私は「何が」と色のない声で呟いては首をかしげた。
男「自分の身が売られるんだぜ?それなのに随分と冷静で簡単じゃねぇか」
簡単すぎて逆に気味が悪いと、そんな言葉に再び笑ってしまった。気味が悪いなんて、随分と酷いことを言われてしまったものだ。
「アンタらには関係ないわ。私は私がどうでもいいだけ。それに、売られてあげるってんだから、アンタらからしたら万々歳じゃないの」
何を奇妙がる必要があるって話だ。逆に反抗しなくて楽だろうに。そう言ってやれば、まぁいい。と。
男「そういうことなら遠慮なく行かせて貰うぜ?」
「ええ、いいよ別に」
何処へなりとも、私をやればいいんだ。何処にいこうと変わらない。私は一人だ。ずっとずっと、これから先も。
……私は、自分が思っていたよりもずっと弱かった。お姉ちゃんがいないと何も出来なくて、あっという間に一人になって、何もなくなって。お姉ちゃんがいないと、生きていても何も意味なんてないの。だから、生きていたって死んでるのと一緒。なら、
(…どうなろうと同じこと)
現実世界でも、こんな二次元の世界にきても…空想の世界に来ても、何も変わらなかった。私は一人だった。
……手に入れかけたものまで、自分で壊してしまったのだから。
『ごめんね』
…万事屋から出る前に、最後に残した言葉。でも、そんな言葉なんかじゃ、二人は許しちゃくれないだろう。こんな私なんて、嫌いになるだろう。
…ダメだな、私は。やっぱりダメだ。
ずっと背負ってきた苦しみが心を麻痺させて、未だに何も感じない。悲しくも辛くもない。
…それなのに、あの時頭に乗ったぬくもりが、忘れられないのはなんでだろうか。
大きくて、少し乱暴で、お姉ちゃんとは全然違うのに、どうしてかお姉ちゃんの手と重ねてしまった、意外にも優しかった手を。
……なんでアイツとお姉ちゃんが重なってしまうのだろう。
……あんな、ダメ人間の天然銀髪パーマを。
薄汚れた男の手が、私の腕を掴んだ、その時。
「ぐはぁ!?」
男「!?」
「…!」
男の悲鳴にうつ向かせた顔をあげてみれば、既に何人かの男達が地面でのびていて。
「…オイ」
その向こうから、聞き覚えのある声が、路地裏に響いた。
銀「うちの従業員に何してくれちゃってんですかコノヤロー」
…そこには、天然銀髪パーマが、銀ちゃんが、立っていた。
銀魂!ラッキー長篇んんん!
さらば真選組篇
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よもぎ(プロフ) - 面白いです!でも握手で右手をだされたら左手で握手っておかしい気が、、、でもかなり展開好きです! (2019年10月28日 23時) (レス) id: 445efeaafe (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 銀魂ーーー!!!(絶叫) (2017年5月6日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 恋雪さん» 本当ですか!?感動して頂けたなら幸いですっ!!ありがとうございます!頑張りますっ!! (2017年4月5日 10時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
恋雪 - とても感動してしまい泣いてしまいました!更新楽しみにしています!これからも頑張ってください (2017年4月4日 22時) (レス) id: 9613c7c3d9 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 龍神邪炎さん» コメント&ご指摘ありがとうございます!直しておきます!面白いと言って頂けて嬉しいです!頑張ります! (2017年4月3日 11時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年3月13日 23時