赤い瓶 ページ5
唐突に、ズバリと私の思っていたことを当てて見せたその人を、私はただ黙って見つめていた。人の心理を読み取る力でもあるというのか、この人には。疑いが大きくなると同時に、ほんの少しの興味心も沸いてきてしまう。
「…どう?当たっているでしょう…?」
「……何が言いたいの、貴女は…」
それを分かった上で、この人は私に何を言いたいのだろう。しつこいくらいに追いかけてきて、何をしたいのだろう。
冷たい風が吹き、髪とスカートをなびかせ、不穏な空気が立ち込める。
「…どうして、そんなことを思うのかしら」
と、また薄く笑ってそう言う彼女。
「それを聞いて貴女の何になるの」と言い返すも、彼女は黙ったままだ。きっと、私の返答を待っているんだ。そして多分、私が答えるまでこの人は立ち去ってはくれない。
……早く一人になりないのに…。
「……意味も、理由もないからよ」
観念したように口を開く。その人は変わらず微笑みながら私の言葉を聞いている。
「ここに居る意味も、生まれてきた理由もわからなくなったから。…どうせ一人なのに、こんなところにいる意味がないでしょう……」
途中、何故か声をあららげそうになったのをグッと押さえて、溜め息を一つ。
「私がいなくなったって、誰も困らないし、私自身もこんな世界にうんざりしてるの。だからもう………こんな世界とはおさらばしたい、そう思っただけよ」
嘘に悪意に欲まみれのこんな汚い世界、私だって願い下げだ。
それに、私一人がいなくなったからって世界は変わらない。だったら、どうして生きなきゃならないのよ。
「…こんな下らない世界に生きるなら、いっそ、」
二次元にでも何でも…、
「行けばいいじゃない」
「…は…?」
再び私の言葉を遮り、彼女はそんなことを口にした。それに私は間抜けた声を出し、眉を寄せた。
……からかっているのだろうか。
「…ふふ、からかってる訳じゃないよ?」
「……やっぱりエスパー…」
「そんな顔してるなって思っただけよ」
じっと見つめるとニコリと笑ってそう言うと、懐から何かを取りだし、私に差し出した。
私はそれを反射的に受けとる。赤い、瓶。4cmくらいの小さな瓶だった。
「……これ、は…?」
「…フフ、私からの、プレゼントよ…」
プレゼント…?顔も素性も知らない人に貰ったものをプレゼントとは言えないだろう。そう思いながらその瓶を凝視していれば、
「…それを呑めば、貴女が望む世界に行けるかも、ね…?」
「…は…?…っ…!!」
次の瞬間、いきなり強い風が吹き、目を瞑った。
銀魂!ラッキー長篇んんん!
さらば真選組篇
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よもぎ(プロフ) - 面白いです!でも握手で右手をだされたら左手で握手っておかしい気が、、、でもかなり展開好きです! (2019年10月28日 23時) (レス) id: 445efeaafe (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 銀魂ーーー!!!(絶叫) (2017年5月6日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 恋雪さん» 本当ですか!?感動して頂けたなら幸いですっ!!ありがとうございます!頑張りますっ!! (2017年4月5日 10時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
恋雪 - とても感動してしまい泣いてしまいました!更新楽しみにしています!これからも頑張ってください (2017年4月4日 22時) (レス) id: 9613c7c3d9 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 龍神邪炎さん» コメント&ご指摘ありがとうございます!直しておきます!面白いと言って頂けて嬉しいです!頑張ります! (2017年4月3日 11時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年3月13日 23時