それじゃない ページ39
「アンタらに私の気持ち言ったところでお姉ちゃんだって帰って来ないし何も変わらないじゃない!!勝手なことばっか抜かしてんじゃないわよ!!」
そう言いながらAは俺達の方を振り返る。その顔は、泣き出す寸前のような、悲しみに歪んでいるような顔で、俺達はソイツの言葉に返す言葉も出てこない。
「大体それを聞いてどうすんの!?同情でもするつもりなの?そんなの誰も望んじゃいないわ!」
両手を強く握り締めて、涙を堪えながら、でも今まで見た中で一番苦しそうな面をして、小さく小さく、「…あ、…に…」何かを言いかけた。
「アンタらに私の何がわかるっての」
弱々しくそう言い捨て、そしてAはついに、目に溜めていたものをポロリと一粒、頬に伝わせた。
新「Aさん……」
神「そんなの、」
小さく新八が遠慮勝ちにAの名前を呼ぶと、それをまたかき消すように神楽の声が発される。
神「お前の気持ちがわからないから、分かろうとしてるんじゃねーかヨ…!!」
…わからないからわかろうとする。そうだ。伝えようと しねぇと何も伝わらねぇように、俺達自身がわかってやろうとしねぇとわかる訳がない。
新「そ、そうですよ…!僕らで良かったらちょっとでも話してください!…少しくらいは力になれるかもちれないし、楽になれるかもしれないですし…!」
コイツらも、俺も、Aのことをまだ何も知らない。だから今、こうして知ろうとしている。必死にソイツの心を分かろうとしている。
……だが、
「……んなの、」
……違うんだ。
「……そんなの、ただの綺麗事でしょ。…そんなこと、言おうとすれば誰だって言える…」
銀「……」
コイツに今必要なものは、それじゃねぇんだ。なんとなく、分かったような気がした。
「…私が欲しいのは、そんなんじゃないし……私は……アンタらみたいに強くない…!!」
頼むからもうほっといて。そう吐き捨てるように呟くと、ソイツは再び俺達に背中を向けて。
新「Aさん!!」
神「A!!」
「ついてこないで!!!」
Aを引き留めようと一歩前に出た二人をソイツは声だけで制した。
泣いているような、怒鳴るような、寂しいと叫んでいるかのような、そんな声が。
そんな声に二人は押し黙ると、Aは廊下を足早に進み出す。そして、途中で、廊下の真ん中で立ち止まると、
「…ごめんね」
新神「…!」
静かにそう言い残し、Aは万事屋の玄関から外へと去っていった。
ピシャン、という扉の閉まる音が、妙に響いて聞こえた。
銀魂!ラッキー長篇んんん!
さらば真選組篇
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よもぎ(プロフ) - 面白いです!でも握手で右手をだされたら左手で握手っておかしい気が、、、でもかなり展開好きです! (2019年10月28日 23時) (レス) id: 445efeaafe (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 銀魂ーーー!!!(絶叫) (2017年5月6日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 恋雪さん» 本当ですか!?感動して頂けたなら幸いですっ!!ありがとうございます!頑張りますっ!! (2017年4月5日 10時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
恋雪 - とても感動してしまい泣いてしまいました!更新楽しみにしています!これからも頑張ってください (2017年4月4日 22時) (レス) id: 9613c7c3d9 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 龍神邪炎さん» コメント&ご指摘ありがとうございます!直しておきます!面白いと言って頂けて嬉しいです!頑張ります! (2017年4月3日 11時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年3月13日 23時