偽り ページ38
「……ごめんね。だから唐揚げは自分達で作って」
銀「……」
また、この間と同じような、会ったばかりの時と同じような、偽りの笑顔を貼り付けたA。その笑顔は、不安げに震えているように見えた。
新「ご、ごめんなさい……僕ら…そんなつもりは……」
「分かってるよ。いいよ、謝らなくて」
窓の外をまた、虚ろに見つめヘラリと笑って見せると、力なくその場から離れて廊下へと歩いていく。
銀「オ、オイ…」
「…ちょっと、気分悪いから一人にさせて。私は、……大丈夫だから」
俺の声にAは少しだけ振り返り、小さく言った。呟くとすぐに顔を背けて、廊下に一歩を踏み出した。
……その時、ソイツが何を考えたのか、やはり俺には、俺達にはわからなかった。ただ、大丈夫なんかじゃねぇことはすぐにわかった。
行かせちゃいけない。そう思い、俺はAを引き留めようと声を発しようとする。が、
神「待つアル!!」
「…!」
そんな神楽の声が、俺の声を遮り、Aの足を止めた。
新「神楽ちゃん…」
神「なんで何も言わないアルカ……なんで隠すアルカ…!謝らなくていいなんて、思ってないくせに…!!」
ピクリと、Aの肩が揺れた気がした。新八が神楽を落ち着かせようとするも、そんな声もかき消され。
神「言ってみろヨ!!「無神経だ」って!!隠してたら何もわからないアル!!」
銀「……」
……それはまるで、俺の……恐らく新八の気持ちをも代弁しているような言葉だった。
言わないとわかる訳がない。人の気持ちを知る術なんざ、それしかないのはわかっているのに、聞けなかった。
……掘り返されたくない過去の一つや二つ、皆あって当然だ。俺だってそんなのいくらでもある。だからかもしれない。Aに、言えなかったのは。
神「A!!」
大きく、ソイツの耳を、俺達の耳をもつんざくような真っ直ぐな声が万事屋に響いた。
「……によ…」
と、小さく消え入りそうな声。そんな声に神楽からAへと視線を向ければ、
「……アンタらに言って何になるの……アンタらに気持ちぶちまけて何になるっての!?」
押さえ込んでいた本心を我慢しきれずに吐き出すかのように、だんだんと声を荒げて言うA。俺達に向けられた背中は、弱々しく震えていて。
銀魂!ラッキー長篇んんん!
さらば真選組篇
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よもぎ(プロフ) - 面白いです!でも握手で右手をだされたら左手で握手っておかしい気が、、、でもかなり展開好きです! (2019年10月28日 23時) (レス) id: 445efeaafe (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 銀魂ーーー!!!(絶叫) (2017年5月6日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 恋雪さん» 本当ですか!?感動して頂けたなら幸いですっ!!ありがとうございます!頑張りますっ!! (2017年4月5日 10時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
恋雪 - とても感動してしまい泣いてしまいました!更新楽しみにしています!これからも頑張ってください (2017年4月4日 22時) (レス) id: 9613c7c3d9 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 龍神邪炎さん» コメント&ご指摘ありがとうございます!直しておきます!面白いと言って頂けて嬉しいです!頑張ります! (2017年4月3日 11時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年3月13日 23時