笑う理由 ページ35
お姉ちゃんが居たときは、よく笑っていた。何より、お姉ちゃんが「Aは笑ったら可愛いんだから笑ってなさい!」なんてことを言っていたから、お姉ちゃんの前ではずっと笑っていた。それに、お姉ちゃんとなら自然と笑顔が溢れたから。
でも、もう、何処にもお姉ちゃんはいない。この世界にも、現実世界に戻っても、お姉ちゃんはいない。
……だったら、笑う理由なんてないもの。
私が笑わなくても、誰も何も言わない。誰も気にしないし、何とも思わない。なら、別に笑わなくたっていいでしょ。
神楽と新八との会話を終えると、私はまた窓の外を見つめ、自分だけの世界に返る。
「……」
…まるで、誰かの背中を探しているかのように、流れる人の波をなんとなく眺めていた。
……そこに、私の望む背中がないことなんて、わかりきっているはずなのに、無意識に探してしまうのは、私の、どうしようもない弱さ故。
(……なんてくだらないんだろ。私って)
……こんなどうしようもない私なんて、消えてしまえばいいのに。
…なんで空想世界に来てまで、こんな気持ちにならなきゃいけないんだろう。
……そんな苦しみをひた隠すように、私は今日も無表情でいた。
……自分が、壊れないように。
*
銀時side
「……」
銀新神「……」
……おかしい。
ここ最近…と言っても、Aと会ってからまだ一週間ほどしか経っていないが、どうもソイツの様子がおかしい。
窓の外をただ無表情で眺める横顔を、俺はソファーに腰かけて見ていた。そしてそれを、新八と神楽も俺と同じように見ていた。どうやら二人も、Aのことを気にかけているようで。
…何を思うでもなく。いや、もしかしたらアイツの中で何かを思っているのかもしれないが、それを見透かせないような面をして、ただ外を見ている。
新「……最近、Aさんの様子、なんかおかしくありませんか」
神「私も思ったアル」
と、俺の周りに集まり、ボソッとそう切り出した新八に、神楽も頷く。
銀「…そうかもな」
空虚を見つめるような虚ろな目をしたソイツを、視界に入れつつそう返した。
…あのまま放っておいたら、何かが手遅れになるような、取り返しのつかないことになるような気がして仕方ない。俺の錯覚かもしれねぇが。
……そうであってほしいと思うのだが、ソイツの何も映さない目を見ていると、そう思えちまう。
……明らかに、何かを抱えている奴の顔をしているから。
銀魂!ラッキー長篇んんん!
さらば真選組篇
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よもぎ(プロフ) - 面白いです!でも握手で右手をだされたら左手で握手っておかしい気が、、、でもかなり展開好きです! (2019年10月28日 23時) (レス) id: 445efeaafe (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 銀魂ーーー!!!(絶叫) (2017年5月6日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 恋雪さん» 本当ですか!?感動して頂けたなら幸いですっ!!ありがとうございます!頑張りますっ!! (2017年4月5日 10時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
恋雪 - とても感動してしまい泣いてしまいました!更新楽しみにしています!これからも頑張ってください (2017年4月4日 22時) (レス) id: 9613c7c3d9 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 龍神邪炎さん» コメント&ご指摘ありがとうございます!直しておきます!面白いと言って頂けて嬉しいです!頑張ります! (2017年4月3日 11時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年3月13日 23時