傷痕 ページ34
*
妙『妹ができたみたいで、なんだか嬉しいわ』
……数日前、新八の家に訪れ、お妙さんに着物を頂いた時に、彼女から私へと向けられたそんな言葉が、忘れられない。耳にこびりついたかのように離れてくれなくて、ずっと私の頭の中で再生され続けている。
……彼女は、悪気があるわけじゃない。ただ純粋に、年下の女の子の知り合いが、そう思えたというだけだろう。
わかってる。わかっているのに、……ズキズキと私の胸を痛めつけてくる。
それはただ単に、私が私の首を絞めているだけなのだけれど。
あの言葉を聞いた瞬間、傷痕を抉られるような感覚を覚えて、でもそれを悟られないように笑顔を張り付けた。彼女は何も悪くないんだから、変な心配をかける訳にはいかないし、こんな痛み、いつものようにすぐに消えるだろう。…そう思っていたのだけれど。
……どうやらその痛みは、傷痕は、思っていたよりも大きいものだったらしい。
「……」
朝目が覚めて、貰った着物に袖を通す。この間、銀ちゃんに着付けして貰った時のを見よう見まねでやったら、以外と出来るようになって。桃色の着物を身に纏った。貰った髪飾りも、なんとなく付けてみた。
今の私の格好をお姉ちゃんが見たら、なんて言うかな。
『わー!すごく似合ってるよ!可愛い!めっちゃ可愛い!』
みたいなことを多分言うんだろうな。簡単に想像できた。
……どうせなら、お姉ちゃんに見てもらいたかったな。
叶いもしないそんな淡い願いを今日も飽きもせずに胸に抱き、万事屋の窓から見える空を眺めていた。
神「A!そろそろ江戸に馴れたアルカ?」
「…そうだね。もう一週間くらいになるし…」
無邪気に笑ってそう言う神楽に笑顔を作って返す。数日前、新八の家に行ってから翌日だっただろうか。神楽に江戸の街を案内してもらったから、大体の道は覚えた。まぁ、してもらったとは言っても、ほぼ無理矢理連れて行かれたのだが。
「人が多くて酔っちゃいそうだけど」
新「まぁ、それも馴れですよ、馴れ」
会ったばかりの時よりかは、親しく話せるようにはなってきた三人。特に神楽は、万事屋に女子が加わったのが嬉しいのか、よく話しかけてくれた。
…でも私は、うまく笑ってその子に返せなくて、作り笑いしか浮かべられなかった。
……私、今までどうやって笑ってたっけ。
今となっては、笑い方すら、よくわからなくなってしまっていた。
銀魂!ラッキー長篇んんん!
さらば真選組篇
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よもぎ(プロフ) - 面白いです!でも握手で右手をだされたら左手で握手っておかしい気が、、、でもかなり展開好きです! (2019年10月28日 23時) (レス) id: 445efeaafe (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 銀魂ーーー!!!(絶叫) (2017年5月6日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 恋雪さん» 本当ですか!?感動して頂けたなら幸いですっ!!ありがとうございます!頑張りますっ!! (2017年4月5日 10時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
恋雪 - とても感動してしまい泣いてしまいました!更新楽しみにしています!これからも頑張ってください (2017年4月4日 22時) (レス) id: 9613c7c3d9 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 龍神邪炎さん» コメント&ご指摘ありがとうございます!直しておきます!面白いと言って頂けて嬉しいです!頑張ります! (2017年4月3日 11時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年3月13日 23時